一般的な睡眠は、段階1から始まり、睡眠前半はレム睡眠から段階2、3、4の波を繰り返す「深い眠り」に入る。そして、目覚める前の後半は「浅い眠り」になり、レム睡眠と段階2の期間が最も長くなる。このパターンを戦略的に利用するなら、情報をたくさん覚えなくてはいけないテスト(外国語の単語、出来事の日付、化学構造などを問うテスト)が控えている場合は、普段どおりの時間にベッドに入って深い眠りを十分にとり、翌朝早く起きて簡単に復習するのがベストな勉強法ということになる。

 逆に、運動能力や創造的思考(数学、作文など)の強化には目が覚める前の浅い眠りが重要。音楽の発表会やスポーツの競技、あるいは創造的思考を必要とするテストの準備が必要なら、この時間帯を効果的に使い、いつもよりも遅くまで起きて準備するのが最適なのだとか。

 翌日にどんなテストが控えているか、何を覚えるべきかが明確な場合は、この「戦略的な睡眠」のとり方を利用するのがお勧めなのだ。

●「戦略的睡眠」における昼寝の効果

 また、『脳が認める勉強法』の中には「昼寝」についても驚きの研究結果が。カリフォルニア大学サンディエゴ校のサラ・メドニック氏が10年にわたって実験を行った結果を参考にすると、午前中に勉強し、夕方にテストを受ける場合、1時間の昼寝を挟んだ人のほうが、テストの成績が30%前後高かったそうだ。メドニック氏曰く「いくつかの実験では、1時間か1時間半の昼寝をすると、8時間睡眠で得られる学習の強化に近い効果が表われています」とのこと。

 試験の内容によって睡眠時間を効果的にコントロールし、できれば、昼寝を挟む。これからは「明日はテストだから徹夜して試験勉強だ!」などという勉強法から、「明日は数学のテストだから、いつもより遅くまで頑張ろう」「明日はTOEICの試験だから、普段と同じ時間に寝て、朝早目に起きて勉強しよう」などという勉強法が主流になりそうだ。