●自分のアピールは「質問」の中に

 聞き役に徹するということは、自身の言いたいことは一つも言えないのかといったらそうではありません。聞き役であっても話の主導権を握ることはできるのです。具体的には、自分の言いたいこと、アピールしたいことは「質問」の中に入れて、相手に答えをもらうという形にします。

 たとえば、こんな風にです。

「私は海外経験がないので、いつか海外で勤務してみたいと考えているのですが、どんな勉強や準備をしておけばいいでしょうか」

「前回、部長のお力によって営業で好成績をおさめさせていただきました。継続していい成績をとるために、私に足りないところはありますか」

といったようにです。

 これにより、気持ち良く上司に話してもらいながら、自分自身のことも嫌味なく相手に知ってもらうことができます。

●「素」をさらけ出す

 仕事以外で上司と共にするランチや飲みの席は、とても大切な第二の自己アピール時間です。

 ですので、仕事中と変わらぬビジネスライクな態度で臨むのも重要ですが、せっかくなので自身の魅力の多面性を知ってもらうのもいいでしょう。

 新たな魅力を出すという意味では、たとえば、ギャップを見せるというのもひとつです。上司から「こんな面もあったのか」と、これまで査定されていた能力や人柄にいい意味で幅を広げることができます。

また、素を出すのも有効です。

 素を出したら低く評価されるのではと危惧すると思いますが、効果は逆です。素を出すということで、相手には、嘘偽りなく自分を開示できているという安心感や信頼感を伝えることができます。また、素を出せるくらいのリラックスムードというのは、緊張感を解き、心地よい空気感を醸成するだけでなく、より深い会話ができたりする効用もあるのです。

●お礼のフォローだけでは足りない

 上司とのランチや飲み会の時間が終わっても、それで終了ではありません。むしろ、そこからが重要です。

 お礼のフォローを直接、さらにメールや後日改めてすることは当然のことですが、共有した時間をより効果的に使うために、その時間中に話されたことや、アドバイスなどをきちんとフォローするのです。

 たとえば、「先日教えていただいた本、早速買って読んでみました」「教えていただいたこと、メモにまとめて後輩にも伝えました」「改めて部の方針がよくわかりました。それで、こんな提案を思いついたのですが…」などと次へつながるフォローをするのです。