社内プレゼンにおいて、最大の失敗は「長い」ということです。ところが、多くのビジネスパーソンが、「あれも大事、これも大事」と情報を盛り込みすぎて、20~30枚にも及ぶ資料をつくってしまいます。それだけで、決裁者は悪印象をもちます。プレゼンの途中で「やり直し」を命じられることもあるでしょう。しかも、情報が多ければ多いほどツッコミどころも増えますから、思わぬ指摘を受けて立ち往生する確率も増えるのです。

 だから、社内プレゼンは3分で終えることを前提に、5~9枚のスライド(本編スライド)でロジックを組み立てることを心がけるべきです。

 これは、決して難しいことではありません。なぜなら、社内プレゼンのロジックのパターンはたった1つだからです。図1をご覧ください。ここにあるように、「(1)課題(どんな課題があるのか?)」→「(2)原因(その課題が生まれる原因は何か?)」→「(3)解決策(その原因を解消する具体策の提案)」→「(4)効果(提案内容を実施した場合の効果予測)」の4つをきちんと示すことさえできれば、決裁者はGOサインを出します。細かい枝葉はそぎ落として、このロジックを最も強力に伝える要素だけを並べればいいのです。

●「型」を覚えれば、誰でもできる!

 さらに、1枚1枚のスライドも、「このスライドで何を伝えたいのか?」を一目で理解できるように、シンプルに加工する必要があります。細かい数字が書き込まれたグラフを貼り付けたスライドや、長々と文章を書き記したスライドなど、決裁者がスライドの意味を理解するのに10秒以上かかるものはアウト。本当に伝えるべき情報を絞り込んで、それがパッと目に飛び込んでくるように加工しなければなりません。

 これも、難しいことではありません。「グラフの見せ方」「キーメッセージの見せ方」「ビジュアルとテキストの配置の仕方」などには、すべて「型」があるからです。

 たとえば、図2をご覧ください。

 見た瞬間に「何を言おうとしているのか?」がわからないですね?「前月比2倍と順調に増加傾向である」という言葉も長いし、目に飛び込んできません。グラフも数字がたくさん書き込んであって、どの数字に着目すればいいのかが直感的にわからない。

そこで、私が開発した「型」に落とし込んだのが、図3です。

 パッと見た瞬間に、「書籍の売り上げが前月比2倍」になったことが理解できるのではないでしょうか?ここには、いくつもの「型」があります。「グラフは左、テキストは右」「キーメッセージのフォントは100~200」「キーメッセージは13字以内」「ポジティブ・カラーは青」「棒グラフは半分の高さを意識する」……。それらの「型」を身につければいいのです。

 7月31日に発刊される『社内プレゼンの資料作成術』では、これらの実践的ノウハウのすべてを紹介しました。この連載では、そのなかからいくつかをご紹介してまいります。何度か実践することで、誰でも必ず身につけることができる技術です。参考にしていただき、みなさんにも次々と「一発OK」を勝ち取っていただければ幸いです。