2014年の今日でも商品先物の分野では、日本は世界に大きく遅れている。

 一時は東京・大阪・名古屋に商品取引所があったほか、横浜や神戸にも生糸取引所があった。ところが今は東京工業品取引所と大阪の米取引所だけ、それもきわめて不活発だ。東京工業品取引所は赤字経営のため大阪証券取引所とシステム統合すべしとの声もあるが、役所の縄張りでうまくいかないらしい。東京工業品取引所は経済産業省の所掌、大阪証券取引所は金融庁の所掌である。

 今日、日本が世界の物価をリードできる商品は一種類もない。せめてお米ぐらいは日本がリードしたいものだが、先物取引規制でそれもできていない。21世紀は知恵と情報の時代、その知恵と情報を集めるのは取引所、それを育てない日本はどんどん遅れている。

(週刊朝日2014年12月26日号「堺屋太一が見た戦後ニッポン70年」連載22に連動)