第21回 石油輸入断絶調査のこと 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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第21回 石油輸入断絶調査のこと

文・堺屋太一

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 石油輸入が絶えた場合、日本の産業と日本人の暮らしがどうなるか。これを少しでも科学的に予測した調査研究は、私たちがボランティアで行ったもの以外は見たことがない。

 この調査には、ボランティア組織ならではの大胆な前提があり、思い切った近似値の採用も多い。その是非を論じ出せばキリがない。私たちが「調査報告書」ではなく、小説として発表しようとしたのには、そんな調査の限界があったからである。

 今日、原子力発電が全部停止している状態では、石油輸入の途絶は1970年ごろと同じほどの被害を及ぼすだろう。石油の輸入元がアラビア湾に集中しているのも同じだ。

 地震や洪水については「千年に1度」の規模まで心配する日本人が、はるかに可能性の高いエネルギー危機にはのんきでいられるのは不思議なことだ。エネルギーの安定供給にはもっと正確な議論を繰り返して欲しい。

(週刊朝日2014年12月19日号「堺屋太一が見た戦後ニッポン70年」連載21に連動)


(更新 2014/12/26 )


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堺屋太一(さかいや・たいち)

 1935年生まれ。本名は池口小太郎。60年に通商産業省に入省し、大阪万博をプロデュース。退官後は作家・経済評論家として活躍。経済企画庁長官を務め、現在は内閣官房参与。主な著書に『団塊の世代』(文春文庫)、『平成三十年』(朝日文庫)など

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