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第9回 日本一のメガネの産地 鯖江に行ってきました

文・鈴木正晴

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メガネフレームなどに使うセルロースアセテートの板材

メガネフレームなどに使うセルロースアセテートの板材

フレームに合わせカットされる前のサングラスのレンズ

フレームに合わせカットされる前のサングラスのレンズ

メガネフレームのパーツの削り出し作業

メガネフレームのパーツの削り出し作業

特殊な技術により反射素材を織り込む織機

特殊な技術により反射素材を織り込む織機

鯖江市役所のワタナベさん

鯖江市役所のワタナベさん

 日本百貨店の鈴木正晴です。

 日本百貨店のテーマが「日本のスグレモノ」であることから、よく誤解されるのですが、決して日本以外のモノが「スグレテない」と言っているわけではありません。現に私の身の周りのモノを見ましても、100円ショップの商品には毎日助けてもらっていますし、お気に入りのTシャツにはMADE IN USAと書かれています。

 要は時と場合に応じて必要なモノを選べばイイし、その中で「日本のモノもいいんだよ」「値段が少し高くてもそれだけの理由があるんだよ」というのをきちんと伝えていくこと、お店にいらしてくださるお客様の選択の幅を広げるということが、私どものやりたいコトなのです。生活のシーンや気分に合わせて取り入れるものをしっかり選択していく、そんな生活スタイルの一助になればと考えております。もちろん日本一が世界一であれば、オリンピック的な考え方で、それは最高にうれしいことではありますが、自分自身も、生活者という立場で冷静に適不適を見極めて消費したいと思っております。

 なぜのっけからこのようなお話をするかと言いますと、先日「日本一」のめがねの産地、福井県鯖江市に8年ぶりに行ってまいりまして、滞在中、買い手が「しっかりした情報を元に必要なものを選ぶ」ということ、そのために作り手や売り手が「しっかりした情報」を「しっかりと伝える」ことがどれだけ大切か、ということを再認識させられたからなのです。

 鯖江という場所は、海外での知名度が非常に高く、タオルの産地で知られる愛媛県の今治と同じく日本を代表する「世界ブランド」です。何が「日本一」か、ですが、国内のメガネフレームの90%が鯖江地域で作られていて、何と鯖江の6人に1人はメガネに係る仕事をしています。まさにメガネの街。100年にわたって蓄積されたその技術は当然世界的にも高い評価を得て、名だたるブランドのメガネフレーム商品(特にパーツ類)が鯖江で作られ、全世界に向けて出荷されています。中でもチタンの加工技術は群を抜き、世界中からチタン加工の発注を受けている、「山の中の国際都市」です。

 ですが、眼鏡市場は急速に変容しています。20年前に約6000億円と言われたマーケットはいまや4000億ほどに。コンタクトレンズの使用が増加していることと、低単価化が主要因なのでしょうね。

 小難しいコトを話しましたが、要は世界ブランド鯖江も、今までのまま眼鏡フレームを作り続けていても先細りが必至です。為に、鯖江では今メガネフレーム製造の技術を活かした様々な商材開発が行われています。メガネに近しいものもあれば、まったくかけ離れたものもあり、私どもの店舗でも販売をしているのですが、「へー、メガネの街で作ったんだ」「あ、そういえばこれメガネフレームに使う素材だね!」などと皆様お手に取って、楽しんでいただいております。

 今回鯖江に行った一番の理由は、その新しい商材作りにいそしんでいる方々にお会いして、今後の商品開発について意見交換をさせていただくためでした。市役所にワタナベさんという熱い男が居りまして、「鈴木さん、店で普段感じているコト、作り手に伝えてやってください!!」と声をかけていただき、様々な作り手の方をご紹介いただいたのです。


(更新 2015/5/27 )


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プロフィール

鈴木正晴(すずき・まさはる)

 株式会社日本百貨店・代表取締役社長、ディレクター兼バイヤー。1975年神奈川県生まれ。1997年東京大学教育学部卒業後、伊藤忠商事株式会社に入社。アパレル関連の部門で、海外とのビジネスを多く経験する中で、国内の“モノ づくり”文化に根差したすぐれものをより広いマーケットに広める一助となりたいと考え、2006年3月伊藤忠商事を退社。2006年4月に株式会社コンタン(現・株式会社日本百貨店)を立ち上げる。2010年12月には東京・御徒町に、日本の優れものを集める小売店“日本百貨店”を オープン。食・雑貨・衣料雑貨など、全国から様々なこだわりの商材を集め、作り手と使い手の出 会いの場を提供している。著書に「日本百貨店」(飛鳥新社 2012/12)

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