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第4回 モノづくりの街 “桐生”~超撥水風呂敷のご紹介~

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朝倉染布の工場の様子

朝倉染布の工場の様子

超撥水風呂敷

超撥水風呂敷

水を弾いて布表面に水滴がころがる撥水効果

水を弾いて布表面に水滴がころがる撥水効果

バケツとしても使えます

バケツとしても使えます

※「第3回 モノづくりの街 “桐生”~日本百貨店の原点の原点がここに~」よりつづく

 そんな大好きな桐生の、たくさんの大好きなモノの中で、今回ご紹介したいのは、“超・撥水風呂敷”です。日本の繊維産業の一大インフラとして機能していた桐生、その伝統は今もきちんと引き継がれ、いわゆる“縁の下の力持ち”たるメーカーさんが、たくさん存在しています。そのメーカーの一つ、「朝倉染布」さん。実はこちらの技術は、かつて水泳の世界大会で次々と新記録を打ち出し、使用禁止とまでなった“あの”水着の生地にも活かされていたほど、世界的にも注目されています。決して陽の目を見ないけれど、しっかり日本のモノヅクリを支えている。そして世界のモノヅクリの礎となっている。そんな朝倉さんの技術で生まれたのが、こちらの超撥水風呂敷です。

 その技術は、もともとは赤ちゃんのおむつカバーに使われた技術を発展させたもので、イメージとしてはフライパンのテフロンコーティングと同じです。生地の繊維の一本一本をフッ素コーティングすることで、水をはじく布が生まれます。生地の織り目をふさいでいないのが防水との違い。蒸れないので、スカーフやひざ掛け代わりにも使えるのです。

 その構造で、何とバケツ一杯の水を包んで運ぶことができるほどの超撥水効果を持ちながら、一定以上の圧力をかけると、繊維の隙間から水が漏れだすようになっています。災害時など、様々な状況・可能性を想定した、超ハイスペックな風呂敷です。

 可愛い柄は、普段使いにはもちろん、急な雨の時やレジャーでも重宝します。何気なく毎日使っている風呂敷が、実はとってもスグレモノ。実はね、って、誰かにしゃべりたくなる。桐生のモノヅクリ魂、面目躍如の一品です。

 まだまだ、桐生にはご紹介したいものがたくさんあります。若手作家の作るガラス、対照的に古くから作り続けられている手すきの和紙。着物の織りの技術を活かしたストール。畳屋さんの8代目が手掛ける、い草のブックカバー。近江商人が作り続ける本格的な樽仕込みの醤油。

 そしてのこぎり屋根に代表される景観と、夜どこに飲みに行っても楽しい時間が過ごせる、街の人のお人柄。

 暇な日に1日だけ、是非桐生をほっつき歩いてみてください。東京のこんなそばに、こんな街があったなんて、という感動と同時に、まだまだ知らないところがたくさんあるんじゃないか、っていう好奇心もわいてきます。そう、まだまだたくさん、行かなきゃいけないところはあるんです。


(更新 2015/4/22 )


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プロフィール

鈴木正晴(すずき・まさはる)

 株式会社日本百貨店・代表取締役社長、ディレクター兼バイヤー。1975年神奈川県生まれ。1997年東京大学教育学部卒業後、伊藤忠商事株式会社に入社。アパレル関連の部門で、海外とのビジネスを多く経験する中で、国内の“モノ づくり”文化に根差したすぐれものをより広いマーケットに広める一助となりたいと考え、2006年3月伊藤忠商事を退社。2006年4月に株式会社コンタン(現・株式会社日本百貨店)を立ち上げる。2010年12月には東京・御徒町に、日本の優れものを集める小売店“日本百貨店”を オープン。食・雑貨・衣料雑貨など、全国から様々なこだわりの商材を集め、作り手と使い手の出 会いの場を提供している。著書に「日本百貨店」(飛鳥新社 2012/12)

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