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お芝居代、ペア9000円。

文・内藤みか

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 先日、シングルマザーの友達とお茶をした。彼女は新品のブランドバッグを持っていた。彼氏に買ってもらったのだという。向こうが夢中なのでしかたなく付き合ってあげているだけで、本当は愛してなどいないと彼女はつぶやく。
「デートのお金は全部彼が出してくれるの。だから損はないかなと思って会ってるんだ」
という彼女のことが正直、少しだけうらやましかった。

 私にはバッグを買ってくれるような男性はいないのだから。バッグどころかお昼すらごちそうになることも滅多にない。むしろ逆だ。この間会った年下男子は、お金がないといってファミレスでドリンクバーしか頼まなかった。しかたがないから私が彼にお昼をおごってあげたくらいだ。 

 そんな時、同年代男性とお芝居に行くことになった。いつもは年下男子と行くので2人分のお芝居のチケットも、帰りのお食事代も、すべて私もちである。誘ったほうが払うものだと思っていたので、今回も私はさっさと2人分のチケット代を支払った。いつものことだったのでこちらには何の違和感もなかったのだけど、向こうには大いにあったらしい。

「今度は僕が払います。劇場に入ったら、あなたはお財布を使ってはいけません」と言われ、彼はそれはそれは尽くしてくれた。気づくと私はパンフレットやらおやつやらオペラグラスやら両手に持ちきれないほどのものを、彼から与えられていた。

 これが一般の男女交際というものならば、なんてラクなのだろう! 一般女性はこんなにも男性にちやほやされているのだろうか、それって気持ちよすぎるではないか!

 同年代男性は、帰りの食事代までごちそうしてくれようとした。いえいえ劇場でも出していただいたし、ここはワリカンにしましょうと提案すると、
「僕に恥をかかせないでください」
 などと言うので、思わずごちそうになってしまった。家に帰って計算してみると、私は芝居のチケット2人分で9000円使っていて、向こうもほぼ同額使ってくれていた。

 誰かにおごっていただくなんて久しぶりすぎた。私との時間は彼が9000円も払うほどの価値があったとは思えなくて、なんとも申し訳ない気持ちを今でも引きずっている。


(更新 2012/1/19 )


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プロフィール

内藤みか(ないとう・みか)

 小説家、エッセイスト。山梨県出身。デビュー当時「ケータイ小説の女王」の異名をとリ、現在も電子書籍サイトのダウンロードランキング常連。「年下男恋愛」「イケメン」についてのコンテンツを作り続け、「イケメン評論家」としても活動。近年はイケメン恋愛ゲームのシナリオや、芝居の脚本も手がけるように。『夢をかなえるツイッター』などSNSに関する著作も。近著に『誰も教えてくれない Facebook & Twitter 100のルール』。twitterアカウントは @micanaitoh

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