2012年を私はインターネットサーフィン中に迎えた。
 原稿が全然終わらず、年越しで仕事をしていたからである。

 子どもたちはおばあちゃんちで「ゆく年くる年」を観ながら0時を迎えていた。子ども達だけで特急に乗り、おばあちゃんちに行ってもらったのだ。

「ママも仕事が終わったら行くから」と子ども達を駅で送り出した時には、私はすでに孤独な年越しを覚悟していた。でも実際そうなってみるとそんなに淋しくはなかった。ネットでは300人以上もの人が私に新年の挨拶を送ってくれたから。

 しかし時間が経つにつれてせつなさは増していく。すっぴんで原稿を書き続ける私は皆みたいに楽しげなお正月の光景の写真をアップすることもできなかった。12月31日午後8時にスーパーを3軒回ったが、おせちも売り切れていて、198円のなますしか手に入らなかった。

「新年から仕事をしています」と、ちらっと書き込んではみたけれど、誰一人「僕も働いています」という人はいなかった。ちょっと淋しかった。

 三が日が過ぎ、子ども達が「おばあちゃんからお年玉もらった~」と戻ってきても、私はパソコンに向かいっぱなしだった。仕事に夢中の時には私はいろんなことがあとまわしになる。いつもは子どもを預ける時には母親に食費としてお金を渡しているのに、それを忘れていたことも子ども達が戻ってから気づいた。

 とにかく仕事を終わらせて、それから母親にお礼を言おうと原稿を書き続けている私あてに、母親から封筒が届いた。開けるとなんと1万円札が入っているではないか。
『ほんの気持ちです。3人でおいしい物でも食べてね。体に気をつけてね』と書かれている。

 本来なら母親にお年玉をあげなくてはならない40歳の私が、老母から逆に受け取ってしまった! どうも母は、私が正月にも戻れず、子どもらの食費も渡さなかったために、経済的に困窮していると誤解してしまったようなのだ。

 お母さん、新年早々心配かけてごめんなさい。だいじょうぶ、私はただ単に原稿が書き終わらなかっただけなんです。もうちょっとしたら仕上がるんで、そしたらお年玉を倍返しさせていただきますからね......!

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