プレゼント返品、34400円。 |AERA dot. (アエラドット)

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プレゼント返品、34400円。

文・内藤みか

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 仲良しの男の子とクリスマスプレゼントを交換しようという話になった。彼は言った。「オレ、金がないから300円くらいのものでいい?」

 300円でもなんでも気持ちが一番うれしいのだから、私は別に構わなかった。私も300円のもので彼に何かを贈ることになったけれど、 なんとなく言った。私は100倍でもいいよ、ただしあなたが100倍分のなにかで返してくれるんならね、と。

 ちなみに私が求めていた100倍のもの、というのは、愛情だった。それなのにある夜、電話が鳴って彼は言った。
「欲しいコートがある。ちょうど3万円なのだけど」

 本気で100倍もらう気でいたのかと私は呆れて聞いた。ねえ、じゃああなたは差額分、私に何をしてくれるの、と。
「写真のモデルになるというのではだめ?」
 彼の写真は撮ってみたいけれど、なんだかクリスマスプレゼントとしてはピンとこなかった。でもクリスマス気分を消したくなかったから、 私は渋々承諾した。愛をくれよ!と心の中で叫びながら。

 私たちはクリスマスの1週間ほど前にデートをした。彼は私を洋服屋に連れていった。3万円と言っていたコートはなぜか34400円の値 札で、私は渋々カードで支払った。
 お返しに、と彼がくれたのは美しい2連のネックレスだった。嬉しかった。300円より何倍も高いのを買ったんだよ、と彼は得意げに言っ た。けれど聞いてみると、3万円とは桁が1つ違う。どうしてもどうしても納得できなかった。

 結局その後、電話で4時間、対面で2時間、彼とケンカという名の話し合いをした。
「私ばっかり3万円だなんて、やっぱりイヤだよ!」
「買った後でぐずぐず言うなんてズルイよ!」
 ......結局コートは返品することになった。さらに彼が、
「オレがちょっと甘えてました。すみませんでした」
 とあやまってもくれた。でもどこか納得していない顔だったけれど。

 私は心を鬼にしてファー付きの茶色のコートをショップに返品した。本当はプレゼントしてあげたかったけれど、ここで貢いでしまうのは、 彼のためにならないだろうから。

 とはいえ、この彼が本当に反省してくれたなんて、思っていない。クリスマスまであと数日あるし、もしかしたら他の女性にあのコートをおねだりしているんじゃないかなあ......。


(更新 2011/12/22 )


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プロフィール

内藤みか(ないとう・みか)

 小説家、エッセイスト。山梨県出身。デビュー当時「ケータイ小説の女王」の異名をとリ、現在も電子書籍サイトのダウンロードランキング常連。「年下男恋愛」「イケメン」についてのコンテンツを作り続け、「イケメン評論家」としても活動。近年はイケメン恋愛ゲームのシナリオや、芝居の脚本も手がけるように。『夢をかなえるツイッター』などSNSに関する著作も。近著に『誰も教えてくれない Facebook & Twitter 100のルール』。twitterアカウントは @micanaitoh

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