夏休みである。巷には親子オペラ教室、親子パン作り教室など、いろんな親子教室が溢れているけれど、私は絵が好きな娘のために、こんな素晴らしい親子教室を見つけてきた。それは、親子油絵教室。

 とある美術学校の無料体験教室で、初心者向けだという。私も娘も油絵はまったくの初めてなので、いそいそと申し込んだ。

 そのお教室はさすが専門学校だけあって本格的で、3日間で合計10時間以上をかけて油絵を完成させるという。3日も一体何をするのだろう? 下絵に1日かけるのかしらと思ったらそんなことはなく、初日からすぐに全体の塗りに入ったので驚いた。油絵というのは絵の具をどんどん重ねるもので、2日目3日目でさらに塗り詰めていくという。

 ほとんどの参加者は受験を考えている中高生で、小学生は娘のほかにはいなかった。小さい娘がついていけるか心配だったが、朝から夕方までほとんど私と会話もせずに、ただ一心にキャンバスに向かっていた。私が「ねえねえ」と話しかけようものなら「授業中に私語は厳禁」と冷たい声が返ってくる。これではどちらが親だかわからない。

 私も久しぶりに絵を描いたのだけど、こんなにも精神を集中させるものだったのかと驚いた。線の一本一本、色の一色一色、ひとつひとつ考え、最善のものを選び作品を創り上げる作業はかなり神経を使い、頭を疲れさせる。

 そしてこういう場所に付き添ってくるお母様がたがまたスゴかった。子どもを美術系にと考えているだけあって絵も達者なかたが多く、その玄人はだしのリアルな描写に息を呑んだ。

 対して私は10年以上ぶりに絵筆を握ったので、立体感をどうやって出せばいいのかすらわからず、のっぺりとした、油絵というよりイラスト風になり、やや肩身が狭かった。

 娘は洋服にも、なぜか足にも絵の具をつけながら、とにかく一所懸命描き、終了した時には「もう歩けない」とへたりこんでいた。10歳の子どもがこんなにフラフラになるまで何時間も集中するなんて......と、できばえはともかく母親はそのけなげな頑張りに胸がジーンとした。

 親子で描くのもいいもんだ、と気づいた我々、懲りずに来月は親子水墨画体験に参加することになっている。今度は娘、墨で手をべたべたにするんだろうなあ?。

※画像 右が私、左が娘が描いた油絵。
 
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