近ごろ、イケメンブームが一層過熱している。この夏は『イケメン☆パラダイス2011』をはじめ、若い男の子が大勢登場するドラマが目白押しだ。

 「イケメン評論家」を名乗っている私のところにも毎週のようにコメント依頼が来る。多くは「今後ブレイクするのは誰?」というものだ。あまりに一気にイケメンさんの数が増えて混戦状態なので、誰かのコメントを必要としているのだろう。まさかここまでイケメンブームが続くとは思っていなかったので、うれしい需要である。

 そして私に思いがけない悩みがやってきた。「僕を撮ってください」と言ってくるイケメンさんが続々出てきたのだ。先日私が制作したフォトドラマがケータイサイトで5週連続1位となったからなのだろう。しかしそれにはイケメンの半裸写真が何枚も載っているというのに。
 ちょっと前まではモデルの男の子を探すのに難儀していたのに、なんとこのごろは、
「僕はお尻に自信あります!」
「ちょっと身体は細いけど脱ぎます!」
「ギャラいりません!」
 などと言ってくれる男の子達がいる。ありがたいことである。

 しかし私はどうにも乗り気になれない。向こうから「さあどうぞ」とさらけ出されたら、ドラマを感じないからだ。はにかむイケメンさんを「撮らせて!」と口説いて一肌脱いでいただくことに無常の悦びを感じるタイプなのである。

 なのでもったいない話だけれど、「僕を撮影してほしい」というイケメンさんのほとんどは丁重なお詫びとともにお断りしている状態だ。

 先日は、撮影希望のイケメンさんに「ちょっとお部屋での様子を撮影させて。服は着ていていいから」とお願いしたところ、「どうして脱がなくていいんですか?」と悔しがった。最近の男の子は露出したがりでこちらのほうがドキドキしてしまう。

 そして私はといえば、断られても断られても、とある泣き出しそうな瞳の男の子に撮影をお願いし続けている。先日はやっとカラオケをしている様子の撮影許可を得た。この彼のカラダをこそ撮影したいのに、乙女のようにかたくなに拒まれている。
「そこをなんとか!」
「1度だけでいいから!」
「青春の記念にぜひ!」
 などと言葉を並べ、私はしつこく彼を口説き続けている......。