この1ヶ月で立て続けに3Dデジタル映画を3本も観た。「豆富小僧」、「塔の上のラプンツェル」、「ガリバー旅行記」で、すべて子どもと一緒に観た。

 3Dデジタル映画というのは、専用メガネをかけると画像が飛び出してくるという、最近流行のものだ。この方式は数年前にヒットした「アバター」あたりから一般的になってきたけれど、正直に言えば、今まで避けてきた。なにも飛び出させなくても充分に映画は楽しめるだろうと思っていたからだ。それに普通の映画より400円も高かったから。

 けれど3Dを初体験したら、あっというまにハマった。「豆富小僧」では、自分の周りに大勢の妖怪がざわざわと歩き回っているかのような迫力で、数百匹のタヌキがぞろぞろと動いている時など、くすぐったさまで感じてひとりで笑い出したほどだ。

 普段の映画とは全然違った。まるで、自分が妖怪の一員になって、その場に参加しているかのような臨場感がそこにあったのだ。映画を観るというより体感していた。こんなすごい経験ができることに驚き、連続して映画館に足を運んでしまったのだった。

「塔の上のラプンツェル」でも、手を伸ばせばすぐそこに明かりがあるかのような感激体験ができた。自分がディズニー映画の中に入り込み、ヒロインのすぐそばで息をひそめてなりゆきを見守っているかのようなびっくりするほどのキャラクターとの近さがあった。クライマックスでの感動もひとしおで、娘など、3Dメガネを外し、そっと目尻をぬぐっていた。映画で泣いたことなどないのに、3Dでは子どもも感極まるほどの迫力があったのだ。

 ということですっかり映画鑑賞に目覚めた私たち親子は、次は何を観ようか?と探しているのだけれど、3D化されているのはハリウッド作品やアニメ作品が多く、邦画はほとんどない。これは非常に残念なことだと思う。

 たとえば恋愛映画が3D化された場合、恋の告白のシーンではイケメン俳優さんの顔が、こちらに飛び出してくることだろう。そうしたら私はヒロインになりきってうっとりとその映画に浸ることができるのに! ......と、こんなことを妄想しているというのは、子どもたちにはもちろんナイショなのである。