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白髪染め、6300円。

文・内藤みか

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 息子が私立中学を退学した後、私は自分を鏡で見てびっくりした。メッシュでも入ったのかと見まごうくらいに、白髪が増えていたのだ。

 私は慌てて美容院に走った。カラーをお願いすると、美容師さんは、
「この量だと白髪染めがいい」
 と気の毒そうに言った。カラーよりも色の種類も少なく、おしゃれ度は一気に低くなる。それでも精一杯可愛くしようと少し明るめの茶色を入れた。6300円だった。

 仕上がりは普通のカラーと特に変わりはなかった。言わなければ白髪染めだなんて誰もわからないだろう。でも私だけは知っている。私の頭は本当は白髪でいっぱいだと。

 さらに、節分の頃からずっと湿疹にも悩まされてきた。いつもだったらすぐにおさまるのに、今回はどんどん増えていく。いろいろストレスが続いたせいなのだろうか。

 それなのに新しく住み始めた部屋は、どうも人を呼ぶ間取りなのか、まだ部屋に段ボールが何個もあるという状態なのに子どもの友達が何度も訪ねてくる。それだけではない、珍しいことなのだけど、男の人も「そちらに行きましょうか?」とよく声をかけてくれる。それももう3人も。しかも全員20代だ。

 一人目は「網戸の調子が悪い」と言ったら僕が直しましょうか、と。二人目は「電球が切れた」と言ったら僕が付け替えましょうか、と。そして三人目は「遊びに行っていい?」と......。

 どうしちゃったのみんな!?とびっくりするくらい積極的である。お部屋に来るということは、子ども達が学校に行ってる時間にもしきちゃったら、密室に私とふたりきりになるということなのだけど、彼らは怖くないのだろうか!?

 もちろん彼らは友達として手伝いを申し出てくれるのだろうけれど、私はオンナのたしなみとして身体のお手入れもしておきたい。けれど手首や足に、赤い湿疹ができている。これはあまり美しくない。

 湿疹が治るまで......と、彼らとの約束を私は先延ばしをしてきた。そしてこのたびついに湿疹が治ってきたが、やっぱりなんだか恥ずかしい。結局私は照れているのだ。だって男の人が部屋に来るなんて何年かぶりなんだもの。

 ああ、彼らに私が白髪染めをしていることが、バレませんように!


(更新 2010/3/ 5 )


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プロフィール

内藤みか(ないとう・みか)

 小説家、エッセイスト。山梨県出身。デビュー当時「ケータイ小説の女王」の異名をとリ、現在も電子書籍サイトのダウンロードランキング常連。「年下男恋愛」「イケメン」についてのコンテンツを作り続け、「イケメン評論家」としても活動。近年はイケメン恋愛ゲームのシナリオや、芝居の脚本も手がけるように。『夢をかなえるツイッター』などSNSに関する著作も。近著に『誰も教えてくれない Facebook & Twitter 100のルール』。twitterアカウントは @micanaitoh

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