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引っ越し、家賃マイナス5万5千円。

文・内藤みか

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 息子が私立中学を退学することにしたその翌日から、私は部屋探しを始めた。息子のためだけではなく、何かをリセットしたいのか、引っ越したくてたまらなくなってしまったのだ。

 前から住んでみたいと思っていた町があった。家賃も今住んでいるところとほぼ同じくらいなので、移動するには悪くない。それにその町の公立校がずいぶんのびのびした感じで子どもたちにも合いそうだと直感できた。

 そして部屋を内覧したのは引っ越しを決意して3日後のクリスマスの朝だった。なんとか年内に決めて3学期から子どもを転校させたいという焦りの中、私は不思議な物件があることを知った。妙に横長な不思議な間取りの部屋だった。そのせいなのか、家賃が今まで住んでいた部屋よりも5万5千円も安かった。安いにこしたことはないので、その部屋に直行した。

 入ってみると、確かに横長なのと、窓が多くてカーテンを揃えなければならなそうだったけれど、静かで日当たりも良く、何より子どもたちの学校が歩いて5分以内なのが気に入った。むしろ横長なのはありがたい。子どもたちが右側で寝静まった頃に、私が左側の部屋で仕事をすれば、うるさくないだろう。在宅ワークママにはこのうえない物件だったので迷わず契約した。

 それからのことは、あまり記憶にない。2人の子どもの転校手続き、引っ越しのトラックの手配や荷造り、水道ガス電気電話の移転などを年末年始にかけてドタバタと実行し、そして今、新居に住んで10日目の朝を迎えている。なぜか全員が右側の部屋のもっとも狭いエリアに集合している。せっかくだから散らばればいいのに、お気に入りのテーブルがそこにあるので集まってしまうのだ。

 子どもたちは学校が気に入ったらしくお友達も早くもでき、日に日に笑顔が増えている。

 家賃5万5千円減にくわえ、私立中から公立中にかわったので月謝数万円も払わなくてよくなった。こちらとしては10万円以上も家計がラクになったのはよかった。毎日夜間だった子どもの帰宅時間も早くなり、おやつ過ぎには帰ってくるので母子の対話も増えたし、私の気持ちにもそれに応じられるくらいの余裕ができたと思う。引っ越しも転校も、大成功だったかもしれない。


(更新 2010/1/21 )


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内藤みか(ないとう・みか)

 小説家、エッセイスト。山梨県出身。デビュー当時「ケータイ小説の女王」の異名をとリ、現在も電子書籍サイトのダウンロードランキング常連。「年下男恋愛」「イケメン」についてのコンテンツを作り続け、「イケメン評論家」としても活動。近年はイケメン恋愛ゲームのシナリオや、芝居の脚本も手がけるように。『夢をかなえるツイッター』などSNSに関する著作も。近著に『誰も教えてくれない Facebook & Twitter 100のルール』。twitterアカウントは @micanaitoh

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