久しぶりに出張ホストを呼んでみた。面白いプランを見つけたからである。

なんと定額給付金スペシャルというメニューが期間限定で設定されており、新人ホストを12時間連れ回すことができて、お値段たったの12000円という激安だったからだ。

12時間も一緒にいたら飽きてしまうのではないかとビクビクしながら、私は当日を迎えた。待ち合わせ場所に現れたのは清楚な感じのイケメンくんで、せつなげな瞳に胸がどくん、と高鳴った。

それからはランチ2時間、ゲーセン2時間、お茶2時間に、近くの公園での花見を2時間、そしてカフェごはんを1時間して、珈琲店で紅茶を1時間飲んだ。するともう夜の10時を過ぎてしまった。

「あと2時間残ってるけど、もう充分満足したわ。本当にありがとう」

私は彼に微笑みながら、今日の拘束代金を支払った。もうげっぷが出るくらい一緒にいてお話することがなくなってしまったので、ここでお開きにしたのである。

ああ12時間というのは、随分長い。初対面の彼と過ごしているあいだ、ずっと私は喋(しゃべ)りっぱなしで、なんだか喉(のど)が疲れている。でもイケメンと桜とを両方愛でることができるお花見、これはとっても有意義だった。どちらもとてもキレイだったから。

定額給付金をいただけることが決まって以来、私はこのお金をホストに使うと宣言してきた。けしからん、と叱られるかと思ったが、むしろその逆で「いろいろある使い道の中で、ホストというのが一番面白かった」と何人もの人にほめられ(?)た。

ホストたちだって、不況に苦しんでいる。店舗型ホストクラブのホストさんも、出張ホストのホストさんも、お客様が減ったと嘆いているのだ。そんな彼らに給付金を捧げることこそ、ホスト大好きな私らしい消費だと思う。そう、自分らしく生きることを貫けば、おのずと給付金の使い道も見えてくるというものだ。

ちなみに私の2人の子どもたちへの給付金(合計4万円)は、もちろんホストには使わない。それぞれに新しい自転車を買ってあげることになっている。

子どもたちも大変喜んでいる。ホストも大変喜んでいる。

ああ、私って今回の給付金でたくさん徳を積んだ気がするわ。給付金、本当にありがとうございました!