ビビ(山口さん提供)
ビビ(山口さん提供)

 ビビ(写真)は今年で16歳。人間の年齢で言うと80歳すぎだろうか。67歳の私よりも年上である。

 わが家の3人娘と妻はが超大好き。加齢臭とハゲ頭の私よりも数千倍は猫に愛情を注いでいる。家族は赤ちゃん言葉や猫なで声で猫に話しかけている。

 そういう私も帰宅するとすぐに猫なで声で話しかけ、癒やされている。

 わが家にはビビの他に大悟(8歳)、クロ(2歳)の2匹の猫がいる。すべて男子である。

 そのビビの様子が最近おかしい。

 落ち着きなく徘徊したり、テーブルに乗り私たちのおかずを食べようとしたり、顔を近づけて何かを訴えるような表情をしたり、体の毛を口で抜いたり……。

 それらは以前にはなかった行為である。認知症だろうか。

 また歯がガタガタになり、食事を残すこともある。見かねて都内のクリニックで歯の治療を受けさせた。

 ビビは「ダメー」「こらー」と怒られることも多くなったが、丁寧にケアしてもらっている。次女はビビの活気、食事や水分の摂取量、尿やウンチの量と回数をチェックし、受診の判断をする。まるで猫のナイチンゲールである。

 ビビが写真のようなエリザベスカラーを着けているのは、毛抜きを防止するため。

 だが、それだと水が飲みにくいので次女が注射器で飲ませる。夜は一緒に休み、口臭が強くなったビビに腕枕をする。

 娘たちが幼かった時、大泣きをするとビビはすぐに駆けつけて、泣きやむまで寄り添った。

 そんなビビに今度は娘や妻は恩返しをしているように思われる。家族の一員となった3匹の猫、とりわけおじいさん猫のビビの存在は大きい。

(山口和彦さん/千葉県/67歳/理学療法士)

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