第1327回 私に活を入れてくれたこげ 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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第1327回 私に活を入れてくれたこげ

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 8年前の夏、庭で干からびかけていたところを夫が保護したのがこげ(写真左、雌)です。推定生後3カ月で、目ヤニと分泌物で息も絶え絶え。

 それからはつぶれた目に軟膏を塗り込み、注射のために病院通いをしました。

 名前は黒い毛色が鍋底のお焦げのように見えたので、こげ。口は開けるものの、鳴き声は古い扉をゆっくりと開けたようなきしみ音そのものでした。

 少しずつ元気になるこげと、野良出身ですが14歳まで王子様のように育った5キロ超の茶之介(チャノ)との出会いは、バスケット越しでした。興味津々で近寄ってきたチャノは、中の黒い塊が跳ねたのを見て40センチ後ろに跳びすさりました。

 こげはすぐにチャノになつき、ついて歩くのですが、老猫は対処できず体重が4キロを切ってしまいました。

 こげが生き生きと走り回るのに反比例してチャノは目に見えて老い、週に2日は注射に通い、家では点滴をするようになりました。

 抱っこが好きなチャノなのに、点滴の時だけは抱っこも拒絶して隠れてしまうのでした。5年後、20歳で天国に旅立ちました。

 覚悟していたはずなのに、あまりのつらさに体のあちこちに異変をきたし、いつまでも涙ぐんでいると、ある日小さな手がトントンと膝をたたくのです。ぱっちりと開いた目で、こげが私を見上げて「あたちもいるよ」、にゃーと可愛い声で一声鳴いたのです。

 こげのまっとうな声を聞くのは初めて。私は我にかえり、こげを抱きしめました。抱っこ嫌いなこげは私の胸を一蹴りすると跳んで逃げましたが、その蹴りが私に活を入れてくれました。

 チャノの薫陶の甲斐あって、こげは本当にいい子です。ただドアホンが鳴ると、よその方が帰るまでは消えてしまうのが残念です。

[町田幸子さん 東京都/67歳/主婦]

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(更新 2019/6/11 )


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