わが家は長らく犬派でしたが、最後の柴犬の女の子が逝ってからはなかなかペットを迎える機運にならないで、寂しい日々を送っていました。

 そうこうするうちに世の中は爆発的なブーム。いつの間にかまだ見ぬ猫に惹かれるようになり、2年前のある朝、「そうだ! 今日ニャンコを迎えに行こう!」と、譲渡会に出かけました。そこで運命的な出会いをしたのが、推定2カ月だった「海」(写真)です。これは写真家の岩合光昭さんの愛猫にちなみます。

 さて始まった待望の猫生活ですが、猫も初めてなら雄も初めて。その腕白ぶりにはしばしばお手上げ。

 手はひっかき傷だらけになるし、なかなか懐いてくれません。運動能力がすごくて、大きなケージの上まであっという間に登り切ったり、天井に届かんとするクローゼットに上り威嚇したりと、夢に見た甘い生活とは程遠いものでした。

 ところが、去勢手術を受けた頃から変化が……。

 当初は、朝は餌が欲しくて猫パンチで起こしにくるのが常でした。それを叱ったこともありませんでしたが、ある朝、妙な感触に目覚めると、大きな猫が私の頬を撫でているのでした!もちろんそれはカイでした。

 驚きと感動で跳び起き、抱きしめました。「パンチはひどいニャ」と気付いたのでしょうか?

 また、ある日、廊下で何やらしきりに騒ぎ立てます。見れば、その壁面は修理のために外した壁時計のあった場所でした。
 その後、今度は新年の飾り付けを「変なモノがある!」と訴えます。

 彼は間違い探しができるくらいに、いろんな物事を把握しているみたいです。ただ、もうビックリでした。

 手に負えないと心配した猫には、まだまだ引き出しがありそうです。

(柳澤桂子さん 富山県/61歳/主婦)

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