わが家に来て早12年になろうとしているモモ(写真)。息子が近所の焼き肉屋さんからもらってきた。もうすぐ捨てられるというミックスの子犬だった。

 前年に柴犬をなくして寂しがっていた彼は白い犬が欲しかったようで、ペットショップを探しても気に入る1匹に出会えなかった。

 たまたま散歩の途中で見かけたのが真っ白なモモで、母さん犬の陰に隠れて覗いていた姿が印象に残っているそうだ。

 母さん犬も雑種でチワワ色が強い。モモは顔は似ているものの、柴犬の血も入っているかに見えた。フルミックスだろうな。兄弟がいたらしいが、早くにどこかへ引き取られたと聞いた。

 モモは女の子。成長すると、その身体能力の高さに驚かされた。スリムな体形も重なり、走るとグレイハウンドなどの競走犬を見ているようだった。

 散歩も普通では物足りないようなので、自転車でひくと、こちらが満身の力でこいでも平気な顔でついてくる。走り終わっても息がほとんど切れない。

 この1年は病気もしたし、加齢もあって体力が落ち、走れなくなりつつあるが、まだまだ元気だ。

 モモは、わが家に来ていなかったらどうなっていたのだろう。そんな話を家族でしたことが幾度かある。誰も引き取り手がなかったら……。

 2016年度に自治体に引き取られた犬は11万頭。その1割以上は飼い主が持ち込み、5万頭以上が命を奪われているそうだ。

 当たり前だが、子犬の時は可愛らしい。でも大きくなって手がかかったり、扱いが大変になったりしても最後まで面倒が見られるか。

 逆に、どんなに大切にしていてもペットの寿命を決めることはできない。モモ、残りの時間はゆっくりでいいよ。長生きしてくれ。

(塩澤直也さん 静岡県/63歳/自営業)

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