第1261回 鳴く姿を披露するのはいつの日か |AERA dot. (アエラドット)

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第1261回 鳴く姿を披露するのはいつの日か

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 妻と猫3匹で暮らしている。朝、妻が仕事に出かけるために鏡の前でアクセサリーを選んでいると、Coco(写真、雌、4歳)はいつものように鏡を置いたタンスに駆け上がって、自分用として最近勝ち取った金色のネックレスをくわえ、遊んでくれとアピールする。
 妻が階下に向かうと、夢中で遊んでいたネックレスを放し、一目散に階段を駆け下りる。今度は朝ごはんのおねだりだ。他の猫に先に食べられるとへそを曲げるから、順番にも気を使わなければならない。

 なぜこんなにわがままに育ってしまったのか? 近所の行儀の良い猫たちに会ってから、よくこの話題が出る。が、本人は知らん顔で、腹を満たすとお気に入りの絨毯に寝転がって身づくろいをする。だが、妻と私が仕事に出るときは欠かさず2階の窓から見送ってくれる。これがわが家の一般的な朝の風景だ。

 Cocoがやってきて3年。近所のアニマルシェルターからもらってきたので特に血統が良いわけではないだろう。でも全身が灰色でスタイルが良く、毛並みも滑らかで運動神経が良い。調べたらコラットという猫の特徴にとても似ているから、かかりつけの獣医にCocoはコラットだろうと言ったら苦笑された。

 Cocoはちょっと風変わりで、私たちに鳴いている姿を見せたことがない。お転婆で甘えん坊だから2階で一人で遊んでいるときなど、我々の注意を引くためにたまに鳴いたりもする。しかしその鳴き声も、ひぃーという奇妙な高い声なので思わず笑ってしまう。

 うまく鳴けないから恥ずかしいのだろうと妻は言い、恥ずかしがらなくていいよと勇気づけるのだけれども、まだ駄目らしい。

 いつか目の前で鳴く姿を披露してくれるだろうと、ひそかに楽しみにしている。

(桑原 渉さん アメリカ・ニュージャージー州/44歳/会社員)

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(更新 2018/2/ 1 )


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