第1184回 ちびたんに寄り添って過ごす日々

2016/07/14 10:28

 ちびたん(雄)がうちに来たのは、東日本大震災の3日前。入院する義母の飼い猫を預かったのです。短期間の予定でしたが、その後、義母が飼えなくなり、そのままうちの子になりました。
 臆病で慎重な彼でしたが、いつの間にやらうちの王様になり、狭いわが家のタンスの引き出し、クローゼットの中、本棚の隙間と、あらゆるお気に入りスペースを毛だらけにしてきました。
 夜中になると、ひとり大運動会。「うう~ん」とうなりながら家中を走り回り、元気な姿をみせてくれていました。
 しかし、うちの子になった時すでに13歳だったので、今年で18歳。人間でいうと90歳くらいでしょうか?
 尿路結石に皮膚アレルギーと、医者通いが続きます。そして、最近はどうやら網膜剥離で目が見えなくなってしまったようです。
 名前を呼ぶと目をこちらに向けますが、少しいぶかしげです。移動する時は、あちこちにぶつかりそうになりながら、直前で器用に避け、トイレやご飯場所に移動しています。わが家が狭くて良かった……。
 今、わたしと夫はちびたんに自分の置かれた状況を(人間の言葉で)一生懸命説明しています。でも、わからないですよねー。
「人間ほど視力に頼っていないので、そのうち、あれ見えてるのかな?と思うくらい慣れますよ」という獣医さんの言葉を信じ、最近グルメに目覚めたちびたんのご機嫌をとっています。
 大好きだった岩合光昭さんの「世界ネコ歩き」(写真)ももう見られませんが、声や気配には元々敏感なので、人がそばに来ると安心してゴロゴロと喉をならします。
 早く慣れようね、ちびたん。残り時間がどれだけあるかわからないけど、そんな時間を大切に、できるだけ寄り添って過ごしたいと思っています。

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