第1180回 夏近づけば思い出す 愛猫と木魚

2016/06/16 10:30

 夏が近くなると、いつも思い出すエピソードです。ミャースケ(写真)は5年前に19歳で亡くなりましたが、今でも家族で笑える思い出です。
 8月といえばお盆、お棚経のシーズンです。お坊さんが暑い中、徒歩あるいはスクーターで檀家を一軒一軒回り、盆棚の前でありがたいお経をあげてくださいます。
 わが家の雄猫ミャースケは体重7キロの大猫なのにもかかわらず、家族以外には慣れず、臆病でした。
 その日も、お坊さんが来るといつものように逃げ惑い、自分でふすまを開けて和室の座卓の下にもぐり込みました。そこは仏間でもあるので、やがてお坊さんのお経が始まりました。
 私どもは神妙にお坊さんの後ろに控え、こうべを垂れます。立派な声のお経もいよいよ佳境に入り、木魚も打ち鳴らされます。
「ポクポク(木魚の音)」「ミャー」「ポクポク」「ミャー」……。
 なんと、おびえて身動きができないであろうミャースケが、木魚に返事でもするように合いの手を入れたのです。
 さすが修行を積まれたお坊さん、何事もなかったようにお経をすませ、「猫がいるのですね」と、涼やかに帰っていかれました。
 私は緊張と笑いをこらえるのに必死で、何と言ってお坊さんをお送りしたか覚えていません。
 当時小学生で、一緒に笑いをこらえた子らも、もうすぐ30歳になります。長いような短いようなミャースケとの生活でしたが、楽しいことがたくさん思い出されます。
 6月19日はミャースケの命日。こうして思い出を書けるようになったことは私の大進歩です。今、庭ではヤグルマソウが咲いています。ミャースケが亡くなった日にも咲いていた花です。

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