飼いの「めんちょい」(写真、7歳)と連れ添って7年。一人の時も結婚してからも、彼女は私だけを、ずっと好きでいてくれる。冬なんて、毛布をフミフミしながら甘えてきちゃって、なんて可愛いんだろう。
 まず私のおなかにおなかをベタッとくっつけ、前足を交互に踏みしめる。だんだん調子が上がると、爪をギュッギュッと食い込ませてくる。フミフミが終わるころには腹に血が滲んで、ミミズ脹れになるほど……。愛は時に痛みを伴う。
 夜中、私がベッドに入ると、なぜかわざわざ首の上に乗ってくる。それでゴロゴロいうもんだから、そのまま朝まで首に重しをのっけたままだ──お、重い。しかし彼女が幸せそうで何よりである。
 飼い始めてしばらくして、調子がおかしいと、アレルギーの検査をした。結果は猫部分の数値が高すぎて測定不能。猫アレルギーだ。
 くしゃみ、かゆみ、肌荒れだけでなく、呼吸器まで調子が悪くなる。寝込むと、めんちょいは心配して布団に潜り込んでくる──。
 いや、調子が悪いのは猫のせいだが……。だからといって、この子と離れて暮らすなんて考えられない。
 彼女はひたすら私を心配してそばにいる。私のことが好きで甘えてくる。こんなのって他にない。愛が形を持ったものが私にとっての猫なのだ。
 その後、アレルギー症状は、生活を正して仕事が落ち着くと軽減してきた。
 今でも不眠不休が続くとちょっと呼吸がつらくなるが、前のような無茶はしないと決めている。何たって彼女が毎晩甘えてくるから。
 今日も私は免疫力を高めるためにちゃんと睡眠をとるし、無理なダイエットもしない。好き嫌いも暴飲暴食もせず、健康に努める。
 私が体を整えるのは、ひとえに猫のためである。

(馬原雲母さん 東京都/30歳/デザイナー)

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