この無垢な瞳(写真)で見つめられると、言葉もなく、ただ抱き締めてしまいます。ミニチュアシュナウザーのレイン君、11歳です。一昨年、知人宅の都合でわが家に養子に来ました。
 来てしばらくは、どこかおびえた様子であまり動こうともせず、散歩の時も慣れない景色に警戒しているように見えました。
 そんな彼に元気になってもらおうと、おいしそうなドッグフードやおもちゃを買いすぎてしまったこともあります。とにかくわが家になじんでほしくて、過保護な親のように四六時中気にかけていました。
 朝は真っ先に「レイン、おはよう」。何かをする前には「レイン、これから◯◯してくるね」。「レイン、おいで」。いつでもどこでも「レイン、レイン」です。
 そして2週間くらいたったころ、レインが、座っている私のひざに乗ってきて一緒にテレビを見始めました。それが何ともうれしいやら可愛いやらで、頬ずりしてしまいました。
 レインが来るまで、わが家は娘と私の2人暮らしでした。夫が7年前に亡くなって以来、ずうっと2人だけで寂しかったのですが、レインという家族が増えたことで心強くなり、活気に満ちた日々を送れています。
 高校1年の娘は、弟か子分ができたような顔でレインに指示を出します。レインもまた娘の言うとおりにするので、その賢さに感心せずにはいられません。
 笑えるのは、納豆が食べられない娘を横目に、レインが納豆をペロリと食べてしまったり、自転車で走る娘を追い抜いて先に行って座って待っていたり、娘の教科書の挿絵をじっと見ていたかと思うとページをめくるしぐさをしたり……。
 私はいつもレインに言います。「うちに来てくれてありがとう! レインはかけがえのない家族だよ」と。

(大橋理恵子さん 栃木県/51歳/主婦)

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