先代の愛「まるちゃん」が亡くなったのは4年前。典型的な「ペットロス」となった母の希望で、2カ月後に地元の動物愛護団体を訪ねました。
 母は「まるちゃんみたいなやんちゃ娘」を希望していましたが、出会ったのは、虚弱体質でアレルギーのため目をウルウルさせている泣き虫の女の子。白とサバトラのミックス猫です。
 彼女が母の腕に両手をそろえてのせ、スヤスヤと眠り始めるとすぐ、母は元気を取り戻しました。
 そして、「その子ね、お兄ちゃんがいるんです。離すのはかわいそうだから、ぜひ」とサバトラの兄も託されました。トラ柄の兄と妹──兄が寅(トラ、写真下)なら、妹はさくら(サクラ、同中)でしょ!と名前が決まりました。
 トラは元気いっぱいで、飼い主の目を盗んで家の外へ跳びはねていき、ふらりと帰ってくるフーテンです。サクラは倍賞千恵子さん演じるさくらのようなしっかり者ではなく、いくつになっても甘えん坊。母の足にまとわりつきます。
 仲の良いきょうだいに遅れること4カ月。くまちゃん(写真上)が仲間入りしました。トラとは初対面の時こそオス同士で激しいバトルを展開したものの、すぐに打ち解けました。
 くまちゃんは分をわきまえ、母の膝に乗るのも年功序列を厳守。トラとサクラが甘えた後で、「遅ればせながら……」とすり寄ります。認知症の父は、3匹のどれを見ても「まるちゃん」と言ったり、10年以上前に飼っていた「サチ」と呼んだりします。
 とはいえ猫を呼ぶ時は気難しい顔が和らぎますから、私と母も「また、お父さん、まるちゃんのこと思い出している……」と苦笑い。
 人間3人と猫3匹で、何となく「6人家族」の気分です。

(若林朋子さん 富山県/44歳/自営業)

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