第1122回 ギザギザハートだった「たび」 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)
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第1122回 ギザギザハートだった「たび」

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 今から18年前。土砂降りの雨の夜、公園の段ボール箱に捨てられていた「たび」(写真)。
 うちに来た当初は、捨てられたトラウマからか極度の人間不信に陥り、毛を撫でることはおろか、少し近づくことさえも許さず、「触るものみな、傷つけた~♪」というチェッカーズのギザギザハート状態でした。
 精神的ショックが激しかったせいか、「みゃ~」とも「にゃー」とも鳴かず、毛を撫でると「ふー」っと吹いて威嚇するのです。
 しかし、そんな彼女の心の扉も少しずつ少しずつ開かれていきました。
 初めて父親の膝に乗った時は、まるで生まれたての子猫が母猫の母乳を吸う時のように、左右の前脚を交互に押し当てて、父のメタボ気味のおなかをチューチューと吸い続けました。
 父のTシャツは、あっと言う間に、たびのヨダレでビチョビチョに!
 その姿を見て、この小さな生き物にも人間と同じ心があるということをあらためて教えられ、わが家族の一員として最後まで大事にしようと心に強く誓いました。
 幼い頃に母親から引き離され、捨てられた寂しさからきたのであろうそんなしぐさが、ようやく見られなくなったのは、うちに来て5年ほど経ってからのことです。
 今では、1泊旅行で家族がうちをあけて帰った日など、「さみしかったやん、ウチひとり置いてどこ行ってたんや!?」と言わんばかりに大声で鳴きわめく寂しがり屋の箱入り娘です。
 高所恐怖症だというのに、懲りずに何度もご近所の屋根に上ってみては自分で下りられず、家族総出で脚立を持ってお迎えに行ったりと、大層お騒がせなやつでもあります。
 たび、ずっと元気で長生きしてね♡

(平田美佐子さん 京都府/61歳/パート)

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(更新 2015/4/16 )


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