私たち夫婦は5年前に結婚しましたが、主人には連れ子がいました。それがラブ(写真、雄)です。
 主人の転勤で、東日本大震災の半年前に仙台に引っ越してきました。地震の日、ラブは家でお留守番。さぞ怖かっただろうと、主人は数時間かけ、徒歩で帰宅。
 家の中は散々な状況でしたが、ラブは何事もなかったかのように「きょとん」としていたそうです。震災時、ラブの存在が私たちをどれだけ勇気づけたか。
 ラブは12月で15歳になります。大型犬ですので、人間にすると110歳くらいだとか。主人はミレニアム生まれの価値ある犬だとペットショップの店員さんにすすめられたそうですが、証明書を見ると1999年の12月生まれ。今となっては、店員さんにだまされたからこそ出会えたのだと感謝しています。
 毎年、年に2回、ラブも一緒に車で横浜へ帰省しています。狭い車内でじーっとお利口にしている姿は、子供のいない私たちにはかわいい赤ちゃんのようです。
 今年の年末年始に帰省した後、仙台に戻ると、突然ラブの後ろ脚が利かなくなりました。補助器をつけて散歩をさせ、必死にマッサージをすると、ある日突然、また歩けるようになりました。一種のリウマチ、またはエコノミークラス症候群だったのかもしれません。
 散歩中、まだ足元がおぼつかないせいか、白髪のせいか、近所の人から「がんばれ~」とか「あと少し~」の掛け声がかかります。€
 それでも他の若くて元気な犬に会うと、急にシャキッとして堂々と歩くようになります。人間同様、「若い者に負けてはいられない」と思うのでしょうか。
 食欲旺盛、早寝早起き、医者いらずな健康体……このままずっとラブは私たちと一緒に日本各地を飛び回りそうな勢いです。

(中村香織さん 宮城県/40歳/主婦)

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