まもなく2歳になるオカメインコのピーチュ(写真、雄)です。おっとりトロくてどんくさい。イケメンの兄弟が先に売れ、1羽だけ残っていたのを、娘が連れ帰ってきました。
 ペットショップのお兄さんによく可愛がってもらったのでしょう。人が大好き。人の耳の穴にクチバシを突っ込み、聞いて! とばかりに歌うので、うるさいやらくすぐったいやら。
 曲目は鳩ぽっぽから桃太郎、ピタゴラスイッチまでお手のものですが、飽きっぽいのが玉にきず。途中でアレンジが入り、桃ぽっぽや鳩スイッチを聞かされる羽目になります。
 ワンとかニャーとか言いながら(鳥です)、人の後を小走りで(たぶん鳥です)ついてくるので、危なくてしょうがありません。
 鳥と人間の質量差について言い聞かせ、なんとか危機感を持ってもらおうと、上から踏むまねをしてみたのですが、「なーに?」とキラキラした瞳で足の裏を見上げ、あまつさえ撫でてくれるのかと背伸びして頭をすりすり。
 オカメインコの野性はどこにいってしまったのでしょうか。そして何でしょうか、この足の裏が幸せという初めての感覚……。ああ困った。まったく困った。いったいどうしてくれよう。
 さらにメロメロなのが娘で、贔屓のアイドルもアロマキャンドルも封印。部屋はオカメグッズに彩られ、鳥カフェに通いだす始末。
 日々オカメ化、バードナイズされていくわが娘に、しかし同病相憐れむ母は止めるすべを持たず、このグッズ製造元にはオカメインコを飼う社員さんがいる、いないで盛り上がります。
 わずか85グラムのオカメインコの体重。それが自ら飛んできて、私の肩に乗っかる。これこそが命の重さ、愛の重さ。こんなに幸せな85グラムを他に知りません。

(千秋みね子さん 富山県/53歳/主婦)

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