沖縄生まれの名前はオッキー(写真)。ミニチュアダックスフントの雄で5歳です。彼は散歩が嫌いというより怖いのです。無理やり連れ出すと、尻尾を引きずって道路の端を伏し目がちに歩き、前から人が来ると固まってしまいます。
 外では絶対に用を足さないので新幹線並みのスピードで走って帰り、門の中に飛び込むと、「ああ、我慢の限界」とばかりにしゃがみ込んで用を足します。
 オッキーは、なぜか成犬になってからも脚を上げて用を足しません。一昨年の秋に亡くなった私の主人が、雄犬の沽券にかかわると言って、後ろ脚をつかみ、実地訓練をしましたが、バランスを崩してつんのめり、顎を打ってギャフン。特訓は1回で終了しました。
 オッキーは、家に入ると元気いっぱい。脱兎のごとく2階に駆け上がりますが、階段を下りることはできません。上から3段目に座ってお迎えを待ちます。
 掃除機、ドライヤーの音に怯えてソファの後ろに逃げ込み、モップを見ただけで腰がひけます。
 こんな弱虫のオッキーですが、健気にアルバイトをしてくれます。八王子市ではペットボトル類は軽くつぶして出すのですが、その仕事をします。作業時間5分、報酬はジャーキー1本。3日に1度働いてくれます。
 現在5歳の彼の面倒を最後まで見られるか心配なので、次期飼い主には娘夫婦が内定しています。
 家が近所なので娘はしばしば来ますが、オッキーは手をなめる程度の挨拶しかしません。しかし、たまに娘の夫が来ると、ズボンにかじりつき、膝に上がり、愛敬を振りまきます。自分の運命を左右する人を動物的勘で察知して、お願いしているのでしょうか。
 オッキーはハワイみやげのアロハを着て、今日も家の中では絶好調です。

(深草淑子さん 東京都/87歳/無職)

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