2世帯住宅で頼りにしていた妹に先立たれ、心の空白をペットに埋めてもらいたいと思うようになりました。調べてみると犬はけっこう手がかかるようです。
 友人が「が好きで飼うならいいけど……」と心配してくれましたが、トイレさえ失敗しなければとか、アメショなら飼いやすそうだからなどという安易な気持ちで、猫を購入しました。
 その猫、ミーちゃん(雌、1歳半、写真)はまさしく希望どおりで、トイレの失敗は一回もありません。
 しかし、心の空白のほうは……。抱っこが嫌い、ブラッシングもイヤ、膝に乗るのは私が何かを食べているときだけで、それも自分はもらえないとわかると行ってしまうのです。
 猫の人懐こさに驚いた話もよく聞くし、動画サイトでは爪切りなどを喜んでやらせる猫の映像がたくさん見られます。ミーちゃんとあまりに違うので、ストレスがたまるばかりでした。
 ついつい友人に「全然懐かない。誰かもらってくれないかしら」とメールすると、あれよあれよという間にもらい手が見つかりました。写真を見て是非にと言う方との間で、受け渡しの日まで決まったのです。
 これでほっとするかと思いきや、激しい動悸と滂沱の涙。自分を持て余すような動揺に襲われました。
 こんなはずではなかったと思いつつ飼って1年数カ月、ミーちゃんが心にすみついてしまっていることを思い知らされました。
 友人には平謝りに謝り、嫁入りは中止にしました。
 相変わらず「こんなはずでは」と言いながらも、もう二度と嫁入り先など探さないからとミーちゃんに話しかけ、少しでもスリスリしてもらえるようボール遊びをしたり、屋上で遊ばせたりと、工夫の毎日です。
 いつかソファで2人一緒にくつろぐのが夢です。

(石鍋誠子さん 埼玉県/71歳/無職)

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