第1041回 一緒に暮らす運命だったんだね

週刊朝日
 2年前、通勤途中のコンビニの駐車場で、よく猫たちが日向ぼっこをしていた。
 その中に真っ白な雌の子猫がいた。声をかけると近寄ってくるが、抱こうとすると素早く逃げる。名前を雪と決め、朝夕、話しかけるのを楽しみにしていた。
 ところがそのコンビニはつぶれ、冬に向かい猫たちは1匹、2匹と姿を消した。
 やがて春になったある日、日だまりの中で一回り大きくなった雪(写真)が日向ぼっこをしていた。家族の了解ももらい、うちに連れて帰ることにした。
 近隣の方の協力も得て、かごの中におびき寄せるのに2週間もかかっただろうか。家でかごから出すと、雪はいきなり障子に爪をかけて天井まで駆け上った。
 そのあと用意しておいた段ボールの箱に引きこもること2日。通るたびに、穴から覗き込んで話しかけていたが、3日目にようやく出てきて缶詰を食べた。
 音に敏感で、ちょっとした音にもビクッと反応する。小さな体で敵から逃れ、寒い冬を乗り切ったんだね、頑張ったねと背中をさすったら、にゃあと言った。
 うちに来て1週間くらいが過ぎ、私たちに慣れたかなと思っていた矢先、一瞬のすきをついて外に逃げ出した。名前を呼びながら捜したが見つからず、心配していたら、うちのガラス窓の中からびっくりしたような顔で私たちを眺めていた。雪が帰ってきたときのために窓を開け放し、家族総出で捜していたら、ちゃっかり先に帰っていたのだ。
 うちの住人となって半年、目下の雪の楽しみはテレビ観賞。動物ものは身を乗り出して見ている。
 夜は私と一緒に2階に上がってベッドの端で長くなって眠り、朝は一緒に起きて台所で朝の缶詰をねだる。
 一目見たときからわかっていたけど、一緒に暮らす運命にあったんだね、雪。

(佐藤美智子さん 熊本県/56歳/公務員)

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