第48回 スケジュールを空ける

大谷由里子
 貧乏性なわたしは、昔っから、すぐにスケジュールを埋めてしまう。

 それどころか吉本興業のマネージャー時代、タレントのスケジュールもすぐに埋めていた。

 芸人さんたちも、「忙しくていいわ」と喜んでくれるし、売上にもなるし、忙しいのは良いことだと思っていた。

 そんなある日、上司に言われた。

「スケジュールをバンバン入れるのもいいけれど、ほんまにいい仕事が入ってきたときに、スケジュールがあいてないという理由で断るほど悲しいものはないぞ」

 そんな発想はなかった。

 けれども実際に、その現場を目の当たりにした。

 全国ネットのレギュラー番組のオファーがあるタレントに来たさい、そのタレントは小さな仕事でスケジュールが詰まっていた。

 一方、当時の島田紳助さんとマネージャーは、あえて仕事のスケジュールに余裕をもたせていた。

「やりたい仕事をちゃんとやろう」という考えがあったからだった。

 そして、その全国ネットの番組のレギュラーには、島田紳助さんが出ることになった。

 その時のわたしは、宮川大助・花子のマネージャーだった。

 そして、まだこれからという時期だったので、「とにかく露出が大切」と、なんでもかんでも仕事を入れていた。

 そんな自分に反省した。

 2人を説得してスケジュールを空けることにした。

「このまま仕事が入らなかったら、どうしょう」

 かなり不安だった。

 ところが、ありがたいことにそこにレギュラー番組が2本入って、2人はテレビでも売れっ子になっていった。

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