最近では友人と飲んでいると、よくこんな話題になる。

「80過ぎて寝込んだとき、ある薬ができて、それを飲んだら20歳の身体に戻れるけれど、必ず1年後に死ぬと言われたら、飲むか飲まないか」

 おもしろいことに、ほとんどの男性は真剣に考え込む。

 でも、わたしの周囲の女性たちはほとんどが即答。

「80歳で20歳の身体に戻れる! ぜったい飲む、飲む!」

 もちろん、わたしも絶対に飲む。

 それどころか飲んだあとを妄想する。

「恋愛したいよね」

「わたしは、全財産持って、世界一周に行く」

「世界中を旅行しながら恋愛する」

 などと、めちゃめちゃ話がはずむ(笑)。

 本当は、そんなことを妄想しているよりも、ぽっくり寺に行ったほうがいいかもしれない。

 20歳になる薬は、妄想としても、寝たきりになる確率は、確実にある。

 ただ、一つだけ思うことは、死ぬギリギリまで元気で笑っていたい。

「あれっ、大谷さん、さっきまで笑ってたのに逝ってしまった」

 そんな最期が理想。

 理想どおりにいくかどうかは、わからない。

 理想どおりに死ねないのは、百も承知。

 ただ、「ぽっくり逝けるかどうか」を思い悩むより、笑って毎日を過ごすほうが、「ぽっくり」に近づくのでは、と思っている。

 やっぱり、ぽっくり寺に行こうかなあ……。