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第38回 思いっきり泣く文・大谷由里子 |

泣くとスッキリするらしい。
お医者さんによっては、「笑うのと同じ効果がある」と、言っている。
たしかに、私自身も泣くとスッキリする。
そして、泣いた後は、意外にケロリとごきげんになれる時もある。
人生の中でいちばん泣いたのは、初めて告白してふられた時かもしれない。
学生時代、何年も片思いだった男性に「ずっと好きだった」と、必死で言葉にしたのに、返ってきた言葉は、「友達としか考えられない」だった。
ひとりで、車の中でめちゃめちゃ泣いた。あんなに泣いたはずなのに、今となっては、ステキな思い出。
祖母が亡くなった時も父が亡くなった時もあんなに泣いていない。
もちろん、他にも何度も泣いたことはある。
仕事が思うように出来ず自分に悔しかった時、仕事で仲間に裏切られた時など、いっぱいある。
とはいえ、学生時代の失恋ほど泣いてないのは事実。
わたしの友人のクリエイターの男性が言った。
「年とともに大泣きができなくなった」
彼は、泣きたくて映画を観に行くらしい。
「どの映画を観るか」考える時に、「どの映画が泣けるか」で、考えるらしい。
彼が言うには、
「自分の心が震えないのに、人の心を震えさせるものが作れるはずない」
確かにその通り。
わたしだって同じ。
人に感動してもらいたい。人の感動を創りたい。
いつもそう思っている。
なのに、自分自身がかつてほど泣けなくなっている。
(更新 2015/11/10 )

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プロフィール
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大谷由里子(おおたに・ゆりこ) 1963年奈良県生まれ。京都ノートルダム女子大学を卒業後、吉本興業に入社。故・横山やすし氏のマネージャーを務め、宮川大助・花子、若井こずえ・みどりなどを売りだし注目を集める。2003年、研修会社の志縁塾を設立。「笑い」を取り入れた「人材育成研修」は、NHKスペシャルなど多くのメディアで話題となっている。 現在は、年間300を超える講演・研修をプロデュース中。主な著書に『仕事で大事なルールは吉本興業で学んだ』(こう書房)、『はじめて講師を頼まれたら読む本』(中経出版)など多数。 |