第16回 歌を歌おう

大谷由里子
 最近、ホテルなどの宿泊施設で企業から頼まれて、講演や研修をしていると、隣から歌声が聞こえてくることが何回かあった。

 調べてみると、カラオケ大会をしていたり、同窓会をしていたり。

 たいていの場合、どうみても平均年齢は、高い。

 でも、みんなスーパーごきげん。

 そういえば、地域のお祭りなどの出しものでも「おやじバンド」が流行っている。

「おやじ」といっても、こちらは、50代、60代くらいで、サザンオールスターズやスピッツやアリスなどの曲を、お客さんが聞いていても聞いていなくてもごきげんに歌っている。

 そして、77歳のうちの母。

 元々、小学校の先生をしていたけれど、当時小学生だった子どもたちも、とっくに還暦を過ぎているメンバーも多い。

 同窓会の写真を見たら、どちらが先生で生徒か分からない。

 そのうえ、みんな暇だから、しょっちゅう同窓会を開催している。にもかかわらず、

「この間、みんなでカラオケに行ったら、◯◯くんたら、歌詞のところで、『あやこ』(わたしの母の名前)なんて、わたしの名前に変えて歌うのよ。照れるわ」

 なんて言いながら、とっても嬉しそう。

 先日、ひとりでカラオケに行くという年配の女性と話をした。

「ひとりって、寂しくないですか?」

 と、尋ねたら、

「練習は、ひとりのほうがいいわよ」

 と、いう答えが返ってきた。思わず、

「本番があるんですか?」

 と、尋ねてみたら、カラオケ大会にエントリーしているらしい。

 実際、「ひとりカラオケ」は、けっこう流行っているらしい。

 ためしに講演会などで、

「ひとりでカラオケに行ったことがある人、手を上げてください」

 と、尋ねると、かなりの数の手が上がる。

 考えてみれば、二人でカラオケに行く時点で「ひとりカラオケ予備軍」かもしれない。相手の歌なんて聞いてない。相手が歌っている時に自分が次に歌う歌を探している。

続きを読む

TwitterでAERA dot.をフォロー

@dot_asahi_pubさんをフォロー

FacebookでAERA dot.の記事をチェック