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第10回 メロドラマは女を元気にする

文・大谷由里子

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マンガ/上大岡トメ

マンガ/上大岡トメ

 それは、ある有名な漫画家との話だった。

「うちの母が、父親を亡くして、すっごく落ち込んだの。もう、あとを追って死ぬかと思った」

「そして、どうされたのですか……」

「それがね。元気づけようと思って『冬のソナタ』のDVDを渡したの。そしたら、それを見ているうちにすっかり元気になって、韓国に遊びに行くようになったの」

 この話を聞いて、妙に納得したのは、わたしだけじゃないはず。

 わたしの知人の女性も、韓流ドラマにはまって、韓国語を勉強したり、韓国に行くためにパートを始めたりした。

 そして、今や、昼メロだけじゃない、深夜にやる夜メロという言葉もできた。

 深夜に結構激しい恋愛ドラマをやっていてる。

 しかも、俳優はイケメン。女優もそれなりに熟女。

 それでも、わたしたちよりもはるかに若いはずなのにわたしを含めて、すっかり、自分がその女優になった気分で見ている。

 また、キャッチコピーもいい。

「金曜の夜、あなたは、恋に落ちる」

 なんて言われると、ドキっとする。そして、たいてい、

「出会う順番が違っただけ」

 なんて、言われると、

「そう、そう」

 などと、勝手に納得している。

 まるで、わたしが、かつて見ていた祖母の姿。

「ありえない」と、わかっていても、ドキドキする。

 そして、心のどこかで叫んでいる。

「こんな恋がしたかった」

「こんな頃もあったんだ」

 もっとも、隣を見れば、洗濯物の山。

「これをたたまなければ……」と、洗濯物をたたみながら、夜メロにはまっている。

 自分のラブシーンでもないのに、ワクワク、ドキドキしてしまう。

 自分に言われたセリフでもないし、自分が言ったセリフでもないのに、一言一句に感動している。

「ひと晩一緒だっただけで勘違いしないで」

 こんなセリフ言ってみたい。

「僕のことも見て」

 こんなセリフ言われてみたい。

 ひとりでドキドキ興奮している。

 そして、やっとわかった。メロドラマは、人を元気にさせるということ。


(更新 2015/4/14 )


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プロフィール

大谷由里子(おおたに・ゆりこ)

 1963年奈良県生まれ。京都ノートルダム女子大学を卒業後、吉本興業に入社。故・横山やすし氏のマネージャーを務め、宮川大助・花子、若井こずえ・みどりなどを売りだし注目を集める。2003年、研修会社の志縁塾を設立。「笑い」を取り入れた「人材育成研修」は、NHKスペシャルなど多くのメディアで話題となっている。 現在は、年間300を超える講演・研修をプロデュース中。主な著書に『仕事で大事なルールは吉本興業で学んだ』(こう書房)、『はじめて講師を頼まれたら読む本』(中経出版)など多数。

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