そんなある日、

「ガンだって言われたんですよ」

 と、告げられた。

 そして、その彼は、言った。

「戦っちゃダメらしい。仲良く付き合うことが大切らしい。なったものは、しかたないしね」

 そう言って、自分のガンに名前をつけて、名前を呼ぶようにされた。

 不思議と、良くなっていった。一緒にやる予定の仕事もうまくいった。

 そして、今も彼は活躍されている。

 わたしは、ガンになった友人にその話をする。というより、そんな話しかできない。でも、わたしの友人たちは言ってくれる。

「ガンと付き合うという発想はなかったわ。その気持ちを大切にしてみる」

 ありがたいことに、この話をするようになってから、わたしの周囲のがんの友人も、みんな元気に活躍している。

 3人に1人がガンになる時代。わたしだって、可能性は持っている。

 すると、わたしの友人は言う。

「あなたみたいに好き勝手している人間は、ガンになんてならないわよ」

「わたしだって、いろいろ考えているよ」と、言い返したくなるけれど、そんなツッコミも愛情だと受け止めて、「やっぱり、そうだよね」と、笑っておく。

 たしかに元気でいられることのほうに感謝するほうがいい。

 最近もわたしの友人のひとりが、ガンが再発した。悩みに悩んだ結果、彼女は、切らないことを決心した。

「病室での生活なんてイヤよ。何もすぐにどうこうなると決まったわけじゃないし、楽しく、せいいっぱい生きることにした」

 そして、彼女は、自分のがんのことをブログに書き出した。

「夢と目標を持つことが大切」

 と、やりたいことをいっぱいやる決心をした。

「死んでる暇なんてお互いにないね」

 と、笑っている。

「笑いがガンに効く」

 という研究をしているお医者さんもたくさんいる。

 だったら、わたしは、とことん、彼女を笑わせようと思っている。