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巻き上がる砂嵐につのる不安

文・中島かずき

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 先週の日曜、いつものように喫茶店で仕事をしようと家を出ると、空の様子が違う。
 北の方が妙に茶色い。
「あ、黄砂だ。それもかなりひどい」そう思いました。
 生まれ育った福岡は、大陸に近いこともあり、春はよく黄砂がやってきます。
 特に2年前のゴールデンウイークに帰省したときはひどかった。
 100メートル前がかすむような感じでした。
 あの時と同じような砂埃がやってきている。空を見て、そう思いました。
 それでも喫茶店にいくまでは大丈夫だろうと歩き始めると、あっという間に砂埃に追いつかれてしまった。ひどい風が吹き、目の前がみるみる茶色くなっていく。
 いやあ、驚きました。
 東京に暮らしてからもう35年になりますが、こんなにひどい砂嵐は初めてです。
 てっきり黄砂だと思っていましたが、気象庁の発表では煙霧でした。
 何が違うのかと思いますが、はっきり中国大陸の黄土地帯からやってきた砂が舞っていると特定できたときだけ、黄砂と呼ぶらしいですね。砂が舞っていてもそれが大陸から来たと特定できなければ煙霧になるということらしいです。
 今回の場合は関東地方北部で強風のために巻き上げられた砂だったので、黄砂ではなく煙霧だったそうですね。
 いったん地面に落ちた黄砂が再び巻き上げられたんなら黄砂と一緒じゃないかとかいいたくもなりますが、「黄砂」か「煙霧」かは、言葉の定義の問題ですから、その定義さえきちんと押さえておけばいいと思います。
 問題なのは呼称ではなく、その砂埃がどのくらい有害かということでしょう。

 2年前の福岡で、ひどい黄砂を体験したときのことを思い出します。
 当時、福島の原発事故で東京もまだまだ放射能汚染が心配な時期でした。
 福岡に帰るときには「やれやれ、しばらくは大気や水の心配をしなくてすむな」と思っていました。
 ところが空港に着いたときからひどい黄砂。
 中国からやってきてるとすれば、この砂がどれだけ汚染されてるかわかりません。すでに中国の大気汚染などは問題になってましたし。
「ああ、福岡でも大気汚染の心配をしなきゃいけないのか」とがっかりした記憶があります。ただ、当時はまだ、メディアで黄砂の危険性は今ほど語られてはいなかった。
 今年になってPM2.5が話題になり、「とうとう来たか」という感じです。

 日本も70年代の公害はひどかった。複合汚染なども話題になりました。
 それでも、そこから反省して汚染処理をおこなった。
 中国も早く対応して欲しいとねがいます。あの国は大きすぎて、なかなか小回りはきかないかもしませんが。


(更新 2013/3/14 )


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プロフィール

中島 かずき(なかしま・かずき)

 劇作家、脚本家。福岡県出身。1985年より劇団☆新感線の座付き作家に。「阿修羅城の瞳」「髑髏城の七人」などの物語性を重視したエンターテイメント時代活劇"いのうえ歌舞伎"を多く生み出す。「アテルイ」で第47回岸田國士戯曲賞受賞。コミック原作や、アニメ「天元突破グレンラガン」(07、09)脚本・シリーズ構成、「仮面ライダーフォーゼ」(11)メイン脚本など幅広く活躍。脚本を手がけた「真田十勇士」(演出:宮田慶子、主演:上川隆也)が8月から上演される

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