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気になる雑誌、「昭和40年男」

文・中島かずき

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『ぴあ』最終号、いろんな書店で売り切れているようですね。
 やはり最後だけあって、懐かしい思いになる人も多いのでしょう。
 僕も、ずらりと並んだ及川正通さんの表紙イラストを眺めながら、昔を思い出していました。
 付録で、創刊号がついていました。
 さすがにこれは僕も知りません。創刊されたのは、まだ田舎にいた頃です。ただ、その誌面の昭和っぷりは、すごく懐かしい感じでした。
 自分が学生時代、まだ乾式コピーもそう多くなく、学生の同人誌といえばガリ版刷りだったころの匂いがして、タイムスリップする気分になります。

 前々回、『ぴあ』に関して、学生時代の記憶を中心に書きました。まだ読者だったころの思い出ですね。
 もちろんそのあと、劇団☆新感線の仕事で、今度は掲載される方としてもずいぶんお世話になっています。
 2000年代に入ってからは、ぴあテンでも常連になってましたし、演劇欄で取材を受けたこともたびたびありました。
 それでも不思議なもので、記憶が濃いのは、学生時代、その誌面に載っている作品を追いかけ、紹介されている劇団をまぶしい思いで見上げていた時代ですね。あの頃は時間だけはあったから、ほんとに誌面の隅々まで、骨までしゃぶり尽くすように読んでましたしね。
 ただ、一度くらい自分のてがけた作品が表紙になりたかった。それは本当に心残りです。

 雑誌といえば、最近気になるものを見つけました。
昭和40年男』。昭和40年代に生まれた男性向けの情報誌という感じでしょうか。
 僕は昭和34年生まれなんで、ちょっと年上です。
 ですが、昭和40年代といえば、ちょうど6歳から15歳。小学校一年生から中学三年生まで。子供から思春期と、情緒的には一番成長する時期です。
 この時代に観たもの読んだもの聞いたものは、今も自分の血肉になっている。
 特に、昔のことを振り返るのが好きな性格なので、今でもこの時代の話をすると熱くなります。
 今発売されている号は、当時のお笑いと、昭和46年が特集でした。
 ドリフターズや『みごろ!たべごろ!笑いごろ!!』の特集、昭和46年といえば『仮面ライダー』や『帰ってきたウルトラマン』が放映された第二次特撮番組ブームの頃。
 俺が買わんで誰が買うという勢いで買って帰りました。

 家内に「こんな雑誌があったんだよ」というと「それはずいぶん後ろ向きね」と言われました。
 なるほど、後ろ向きかもしれません。
 でも、いいじゃないか、好きなんだから。
 確かに、今のご時世、あんまり「昔はよかったなあ」に浸りすぎるのはよくないのだろうなあと思っています。
 今から、自分が書くものは、この大変な時代と取っ組み合う覚悟を持っていきたいなという気持ちはあります。
 でも、昔のことも好きなんです。古いテレビ番組とかマンガの話をしていると、とても幸せな気分になれる。
 そうだ、趣味にしちゃえばいいんだ。
 趣味、昭和40年代。
 これなら非生産的でも怒られないでしょう。だって、趣味なんだもん。
 誰に対するエクスキューズかよくわかんないけど、そういう気分で『昭和40年男』を応援したいと思います。


(更新 2011/7/28 )


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中島 かずき(なかしま・かずき)

 劇作家、脚本家。福岡県出身。1985年より劇団☆新感線の座付き作家に。「阿修羅城の瞳」「髑髏城の七人」などの物語性を重視したエンターテイメント時代活劇"いのうえ歌舞伎"を多く生み出す。「アテルイ」で第47回岸田國士戯曲賞受賞。コミック原作や、アニメ「天元突破グレンラガン」(07、09)脚本・シリーズ構成、「仮面ライダーフォーゼ」(11)メイン脚本など幅広く活躍。脚本を手がけた「真田十勇士」(演出:宮田慶子、主演:上川隆也)が8月から上演される

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