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振り返ったり先を見たりしながら

文・中島かずき

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先週の日曜日(1/9)、岡崎司さんのワークス・ライブに行ってきました。
 岡崎さんが劇団☆新感線のために書き下ろした楽曲の中でも、ロック色の強い曲は、冠徹弥くんと一緒にやっているSKOMBのライブで取り上げているので、こちらはインストゥルメンタルだったりバラードだったりを中心にしたライブです。
 でも、このライブも4回目なのですね。
 司さん自身がライブのMCで、劇伴(映画や芝居のBGMに使用される音楽)を書いていて、こんな風にライブが出来ることが珍しい、ありがたいと新感線のファンの方に感謝の言葉を捧げていました。
 確かにそうだと思います。
 公演毎にサントラやDVDを出し、それが安定した売り上げになっている。こうやってライブをすれば、そこに足を運んでくれる方達がいる。
 僕自身にしても、そうです。
 この出版不況の中、これだけ定期的に戯曲集を出版している劇作家は珍しいと思います。劇場での販売で一定部数売れるのが見えているので、続けられる。
 熱心なファンの方達がいて、自分達の活動がある。
 本当にありがたいことです。

 もちろん、その期待に応えるだけの作品を作り続けているという自負もあります。
 今回のライブで、『吉原御免状』や『アテルイ』、『SHIROH』の曲を久しぶりに聴くと、それぞれのシーンが浮かび上がり、自分達も今まで結構芯の通った芝居を作ってきたよなと思えました。
 でも、そこで脚本・演出・役者とあわせて司さんの音楽も大きな力になっていることも、改めて感じられたのです。幾つもの力がより合わさって、太い芯になるのだなあ、などと感じ入っていました。音楽を聴くとちょっと感傷的になりますね。また、司さんのメロディラインが、そういう感情を揺さぶるんですよ。

 新感線と言えば、今年のラインナップが発表になりました。
 春の『港町純情オセロ』と夏の『髑髏城の七人・零』です。
 前回、今やってる仕事をうにゃむにゃと書きましたが、今やっているのが『髑髏城』です。
 今回は早いですよ。あとの仕事が詰まってるから。
 まあ、構想自体は、去年辺りから固めてましたからね。
 あんまり細かいことはまだまだ言えませんが、今までと違う新世代の物にしたいという気持ちは、僕もいのうえも思っています。
 でも、さすがに『髑髏城』。情報解禁がされたときに、ちょっとツイッターで呟いたら、反響がすごかった。あんなにリツイートされたのは初めてだと思います。それだけ期待されているということでしょうね。
 いろんな人がいろんな期待をしているでしょうから、その全てに応えられるとは思いませんが、自分達としては、その時自分達が一番面白いと思った物を作る。今までもそうでしたし、これからもそうです。その姿勢こそが、多くのお客さんにも納得していただける道だと信じていますので。
 
 とはいえ、それはまだ先の話。
 いのうえひでのりでいえば、「おにぎり」というユニットの演出があります。
 新感線にもほぼレギュラーで出ているのに何故か劇団員ではない村木仁と、市川しんぺーさん、池谷のぶえさんという小劇場の丸っとした強者たちで立ち上げられた新ユニット「おにぎり」の旗揚げ公演『断食』。作は青木豪さんの書き下ろし。会場は座・高円寺1。
 いのうえが久しぶりの小劇場でどういう演出をするか。小さい空間も限られた予算も久しぶりだから、どういう手を使ってくるのか楽しみです。
 公演情報はこちらで。

 僕の方も『戯伝写楽 --その男、十郎兵衛--』が、動き出しています。
 こちらは吉祥寺シアター。
 最近は大劇場での公演が多い二人ですが、今年は久々に別々の作品で小劇場回帰します。
 僕らも楽しみですので、よければ足を運んでみて下さい。
  


(更新 2011/1/13 )


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プロフィール

中島 かずき(なかしま・かずき)

 劇作家、脚本家。福岡県出身。1985年より劇団☆新感線の座付き作家に。「阿修羅城の瞳」「髑髏城の七人」などの物語性を重視したエンターテイメント時代活劇"いのうえ歌舞伎"を多く生み出す。「アテルイ」で第47回岸田國士戯曲賞受賞。コミック原作や、アニメ「天元突破グレンラガン」(07、09)脚本・シリーズ構成、「仮面ライダーフォーゼ」(11)メイン脚本など幅広く活躍。脚本を手がけた「真田十勇士」(演出:宮田慶子、主演:上川隆也)が8月から上演される

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