ゴールデンウィークはイベント三昧でした。

前回書いたように、4/25・26と2日連続で『天元突破グレンラガン螺巌篇』の舞台挨拶に出たのを皮切りに、5/2はSFセミナーでの公開インタビュー。5/6には『TALK LIVE ANIMATED 02』という『グレンラガン』のスタッフ達が語るトークライブに出演してきました。

SFセミナーに参加するのは、今年が初めてです。
ホームページの解説によれば「SFセミナーはSFファン有志が運営し、SF界内外より様々な方々を招いて開催する講演/パネルディスカッション形式のコンベンションです」ということで、1980年から開かれている歴史あるコンベンションです。
そこに僕がなんで招かれたかというと、やっぱり『グレンラガン』のシリーズ構成をやったことが大きかったようです。この作品は、去年の星雲賞(日本SF大会の参加者の投票により選出されるSF作品を対象にした賞)のメディア部門に選ばれたりもしてるので、一応SF作品としても認知されていると考えてもいいでしょう。

会場はお茶の水の全電通労働会館。
ロビーに入って、スタッフや参加しているお客さん達を見ると、一気にタイムスリップする感じです。
20代前半に参加したSF関係のイベント、その時の雰囲気を思い出したのです。それほど熱心なファンというわけではなかったのですが、当時は「SFマガジン」や「SFアドベンチャー」などのSF雑誌を買っていました。会場に足を踏み入れると、あの頃の自分を思い出します。
1980年前後、「SFが売れる」と思われたのか、何社もの出版社がSF専門雑誌を発行したSFブームがあったのです。
専門的に出していた早川書房や東京創元社の他にも、日本人SF作家作品が各社から出版されていたのですが、特に角川文庫は小松左京(こまつさきょう)、平井和正(ひらいかずまさ)、半村良(はんむらりょう)などを中心に随分と刊行していました。
いつの間にかそのブームは廃れ、今では「SFは売れない」と言われる時代になっています。人格転移や、タイムスリップして若い頃の自分になって人生をやり直すモチーフなどはごく普通に使われるようになり、SFの手法だけは浸透しているのですが、ジャンルとしてはまた一部のファンのものに戻ってしまった感はあります。
でも、好きな人達の匂いは変わらないですね。
場所が神田神保町に近いため、大学生時代、何者でもない自分に焦りながら古本屋街を回ってSFマガジンのバックナンバーやマンガの古本、演劇関係の本などを買っていた頃の気分も蘇(よみがえ)り、なんとなくくすぐったい気分になりました。

公開インタビューは200人ほどのホールで行われました。
お客さんの入りは5、6割というところでしょうか。
有料イベントな上に僕一人のインタビューですし、まあよく入ってくれたなという気持ちでした。ガラガラだったら企画してくれたスタッフの方達にも申し訳ないですしね。
1時間くらいで、子供の時の嗜好(しこう)、演劇との出会い、SFとの出会い、新感線、編集者としての仕事、『グレンラガン』との関わりなど、総花的に話していったので、かなり駆け足かなと思いました。
お客さんはどう受け止めたのかなと思っていると、終了後、司会であり今回の企画を立案していただいたSFセミナースタッフのIさんから「昼の部は、ちょっと話し足りないくらいがいいんですよ」とのフォローの言葉。ちょっと不安な顔がわかったのでしょうか。

そのあと、旅館に移動して夜の部。
座敷で車座になり、お客さん達とかなり近い距離で質疑応答をするというもので、むしろこの距離感の近さが、SFのイベントだなあという感じでしたね。 SFは東西を問わず昔からファンとプロの距離が近い事が特徴でしたから。

ここで初めて日下三蔵(くさかさんぞう)さんとお会いしました。
日下さんは、ちくま文庫の『山田風太郎忍法帖短編全集』や本の雑誌社の『都筑道夫少年小説コレクション』などを出したフリーの編集者。僕は彼の仕事のファンで上記の本はもとより何冊も担当書籍を持っています。
実は彼も僕が編集者時代に出した石川賢(いしかわけん)さんの本を随分買っていただいているとか。
共通の知人がいた事でご挨拶できたのですが、こういう思いがけない出会いがあるのがイベントのいいところですね。

30年後の自分が、ゲストとしてこういうイベントに参加することになるとは想像だにしていませんでした。
最近ぐるっと回って20代の自分と出くわす機会が増えたような気がします。
『グレンラガン』の中で主人公に「一回転したら少しだけ前に進む、それがドリルなんだよ」と言わせたのですが、さて、自分の人生もぐるっと回って少しは前に進んでいるのかな。そんなことも思った夜でした。