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「日本一のオタク劇作家」のアニメと舞台のバランス

文・中島かずき

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今年一年ずっと気が重かった仕事がようやく終わりました。

『天元突破(てんげんとっぱ)グレンラガン』のノベライズの仕事です。

文庫書き下ろしで、今回は第四巻、最終巻ですが、やはり小説は難しい。かなりの難産になりました。

基本的にはテレビシリーズのノベライズなのですが、小説は小説で、それ独自で商品価値のあるものにしなければなりません。

一個の作品としても成立してるし、ファンから見れば映像作品のサブテキストとしても面白く読める。そういうものにしたいなと、志だけは高く挑んだのですが、どうにもスキルが足りないなあと、書く度に思います。

まあ、そこはシリーズ構成者の特権で、アニメでは描ききれなかった設定やキャラクターの心理描写などを突っ込んで描写したり、テレビシリーズとは違うストーリー展開を入れたりすることで小説版のオリジナリティを出してはいるつもりです。

三巻目のあとがきに「今年の夏頃には・・・」などと書いたのですが、結局12月発売になってしまいました。

熱心なファンの方からは「いつ出るんですか?」という問合せをいただいたりして、ほんと申し訳なかったです。

途中で『劇場版グレンラガン』の第二弾のシナリオが入ったりしたもので、すっかり予定が遅れてしまいました。まあ、こっちの読みが甘かったというのは事実ですが。

お待たせした読者の方、〆切ギリギリで迷惑をかけた関係者の方、どうもすみません。

さて『グレンラガン』の仕事もこの小説の最終巻で一区切りとなります。

去年から今年にかけて、芝居もあったし、初めてシナリオを手がけた映画もあったのですが、『グレンラガン』の仕事にずっと関わっていたような気がします。

書き物だけじゃなく、イベント関係が多かったせいもあるでしょう。

夏の新宿厚生年金会館でのファンイベント、映画公開時の初日舞台挨拶、広島での『BSアニメ夜話』の公開収録、韓国でのアニメーション映画祭でのトークショー等々、芝居の仕事では味わえない体験をさせてもらえました。

この歳で初めて本格的にアニメに関わり、自分でも代表作と言えるくらい自信が持てた作品に出会えたことは幸運だと思います。

ですが、とりあえず『グレンラガン』に関してはこれで一段落。そろそろ気持ちを切り替えなくてはなりません。

新感線の新作のプロットとか、それ以外の舞台脚本とか、来年は劇作家の仕事がメインになるでしょう。

とはいえ、『日本一のオタク劇作家』を目指す身としては、そっち方面の仕事もそれなりにあるんですけどね。これはもう好きだからしょうがないという感じです。


(更新 2008/11/27 )


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プロフィール

中島 かずき(なかしま・かずき)

 劇作家、脚本家。福岡県出身。1985年より劇団☆新感線の座付き作家に。「阿修羅城の瞳」「髑髏城の七人」などの物語性を重視したエンターテイメント時代活劇"いのうえ歌舞伎"を多く生み出す。「アテルイ」で第47回岸田國士戯曲賞受賞。コミック原作や、アニメ「天元突破グレンラガン」(07、09)脚本・シリーズ構成、「仮面ライダーフォーゼ」(11)メイン脚本など幅広く活躍。脚本を手がけた「真田十勇士」(演出:宮田慶子、主演:上川隆也)が8月から上演される

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