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韓国でも、オタクはやっぱり熱かった

文・中島かずき

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韓国のプチョン市で開かれた国際学生アニメーション映画祭の話の続きです。

『天元突破(てんげんとっぱ)グレンラガン・紅蓮篇(ぐれんへん)』は、韓国内でこれ一回しか上映の予定がないためか、全国のオタクが集まったようで、500人近く入るメイン会場が満員でした。

あとで聞いたところによると、今回の映画祭で唯一チケットが売り切れた上映だったとか。

他にどんな作品が上映されたのか知らないので比較のしようはないのですが、有難いことには間違いありません。 

さて、韓国行きのメインイベントはファンとのトークショーです。

200人くらい入る別室で行ったのですが、こちらは先着順なため、上映中にすでに並んでいる人も結構いたとか。その人達の中には前日のオールナイト上映で本作品を観てそのまま並んでくれた猛者もいるとか。

そういう熱心なファンが支えてくれたおかげで、こちらも満員でした。年齢的には日本よりも少し若いかな。10代が結構いた感じでした。殆(ほとん)どが男性で、女性との比率は9:1くらい。日本だとイベントに来る年齢層も女性の比率ももう少し高いのですが。

トークショーを始めて驚いたのは、日本語がわかる人が全体の4分の1くらいいること。前の席に座っている人たちは、こちらが喋ると通訳が訳す前に笑ったりうなずいたりするのですね。

そのあとの質問コーナーでも日本語で質問する子も多かった。好きが高じてアニメで日本語を覚えているらしいのです。どうやって入手したのか、日本でしか売っていない雑誌を持っていたり主人公のコスプレをした子がいたりと、日本でのイベントと全く変わらない雰囲気でした。

「お前らそんなに日本のアニメが好きか」と問いただしたくなるくらい。

どこの世界でもオタクは一緒だなと思います。

とても熱い一日を過ごせたのですが、そのあと韓国のアニメスタジオの人達に聞いた話では、韓国では自国のアニメは完全に子供向きで、オタク層は日本とアメリカのアニメしか認めていないため、国産で高年齢向けのアニメは需要がないとか。学生スタッフの二人も、本当は出版の仕事に就きたいのだが、韓国では出版社の社会的地位が低く給料も安くて躊躇(ちゅうちょ)しているよう。

とにかく就職がなくて厳しいということです。

ウォンも随分安くなっていました。円で考えると一年前の半額の値段で買い物が出来るそうです。

もちろん日本のアニメも安泰なわけじゃない。DVD市場も随分冷え込んでいて、政府はジャパニメーションなどと浮かれているが、業界全体としては右肩下がりで徐々に沈んでいく船なのではないかと憂えている関係者もいます。

世界不況になろうとしている今、アニメやマンガなどのオタク産業だけでも日本と韓国、台湾などのアジア圏が共同して新しい市場開拓ができないかな、などと考えてしまいました。


(更新 2008/11/20 )


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プロフィール

中島 かずき(なかしま・かずき)

 劇作家、脚本家。福岡県出身。1985年より劇団☆新感線の座付き作家に。「阿修羅城の瞳」「髑髏城の七人」などの物語性を重視したエンターテイメント時代活劇"いのうえ歌舞伎"を多く生み出す。「アテルイ」で第47回岸田國士戯曲賞受賞。コミック原作や、アニメ「天元突破グレンラガン」(07、09)脚本・シリーズ構成、「仮面ライダーフォーゼ」(11)メイン脚本など幅広く活躍。脚本を手がけた「真田十勇士」(演出:宮田慶子、主演:上川隆也)が8月から上演される

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