18歳以下への現金給付・クーポン付与等に関する緊急提言 〈PR TIMES〉|AERA dot. (アエラドット)

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18歳以下への現金給付・クーポン付与等に関する緊急提言

PR TIMES

- 一般社団法人Public Meets Innovation



一般社団法人Public Meets Innovation(パブリックミーツイノベーション、以下PMI)(東京都 千代田区)は、この度、11月9日に合意された「18歳以下を対象とした現金給付及びクーポン付与等」に関する緊急提言を行います。今回の提言には認定NPO法人DxP・NPO法人あなたのいばしょに協力いただきました。

18歳以下を対象とした現金給付及びクーポン付与等について

自民・公明両党が11月9日に合意した、18歳以下を対象とした現金給付及びクーポン付与等(以下「本支援」という。)について、報道等によると大きく以下4種類の支援によって構成されるものと理解している※1,2。

所得制限つきの18歳以下を対象とした計10万円の給付(現金及び子育て・教育等に使途を限定したクーポンそれぞれ5万円ずつ)

生活困窮者向け(住民税非課税世帯)を対象とした一世帯あたり10万円の給付

経済状況が厳しい学生らを対象とした「就学継続資金」10万円の給付

マイナポイント2万円分の給付



※1:2021年11月11日, “不支給の線引きの根拠は…18歳以下が対象の給付金10万円、コロナで打撃を受けた大学生はもらえず”, 東京新聞 等参照

※2:2021年11月16日時点で確認された内容に基づく



若者世代によって構成される一般社団法人Public Meets Innovationは、今後本支援の制度設計に当たって、その政策効果を最大化させるためには、本支援の当事者である18歳以下及び生活困窮者への支援を行っている各団体等からの声を踏まえて検討することともに、将来世代に多大な負担を残しうる本支援については、過去の類似制度の政策効果の検証を行いつつ、明確な社会ビジョンの下、目的意識を持ったうえで行うことが重要であると考える。



ついては、当事者と関連の深い団体からの声を参考にしつつ、今後の本支援に関する制度設計において留意すべき視点(以下(1))及び中長期的に留意するべき視点(以下(2))を提案する。

1.今後の本支援に関する制度設計において留意すべき視点



○支援の対象となる者が確実に受け取ることができる仕組みを構築すること

本支援の実質的な対象者(18歳以下の者、経済状況が厳しい学生など)であるにも関わらず、家族や世帯の形、家庭環境等によって支援を受け取ることができない状況はあってはならない。



2020年における定額給付金の支給の際、世帯主に一律に支給される仕組みとしたことによって、DVや虐待などの被害者が給付金を受け取れない事案が発生している。本支援においても、世帯単位の給付とすることにより、家が安全ではない(家庭内不和、ネグレクトなど)子どもが給付の恩恵を受けることができない可能性がある。また、世帯主の所得を基準とするか、構成員全体の所得合計を基準とするかなど所得制限のあり方によっては、支援を必要とする世帯員に給付金が届かない可能性もある。



本支援においては、そうした家族の多様性・複雑性に十分配慮し、マイナンバーカードを活用した個人への給付など、支援が必要な者に可能な限り直接届けられる仕組みを作ることが重要であると考える。



○支援の目的と、それに沿った支援対象や給付のあり方について再度検討を行うこと

本支援の支援対象や給付の手段については、その妥当性や効果に議論の余地があるが、そもそも政策目的とその前提となる社会ビジョンが曖昧であるがゆえに、最適なあり方を判断することが難しい。



例えば、困窮者支援を目的とするのであれば、単なる現金給付ではなく、生活保護の捕捉率を上げる※3、ひとり親家庭の児童扶養手当を増額する※4など、すでにある制度について、条件の緩和、予算の拡充、対象者やその支援者への周知啓発によるアクセスの確保等により充実を図る方が効果的な場合もある



また、本支援における現金給付は18歳までを対象としているが、当然ながら18歳以上においても支援が必要な者は存在しており、例えば非正規雇用で一人暮らしをしている19歳以上の者は、住民税非課税世帯※5でなければ本支援の対象に一切ならないなど、困窮者支援という目的を踏まえれば本来支援の対象に入るべき者が抜け落ちてしまっていると考えられる。



※3:2018年8月5日, “生活保護FAQ No.2 生活保護を使いながら大学は行けるの?”, NPO法人自立生活サポートセンターもやい:https://www.npomoyai.or.jp/20180815/4766

※4:東京都福祉保健局, “児童扶養手当”:https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kodomo/kosodate/teate/zidoufuyouteate.html

※5:一例として港区の場合<https://www.city.minato.tokyo.jp/kazei/kuse/kocho/faq/zekin/111.html>、住民税非課税世帯とは以下のいずれかに該当する世帯を指す。

(1)その年の1月1日現在で、生活保護法による生活扶助を受けている人。

(2)障害者、未成年者、ひとり親、寡婦(夫)の人で、前年の合計所得が135万円以下(給与収入なら204万4千円未満)、(令和2年度までは125万円以下)の人。

(3)前年の合計所得が一定の所得以下の人。

35万円×(本人+被扶養者の人数)+21万円(21万円は被扶養者がいる場合に加算)+10万円(令和3年度から加算)

なお、所得割の非課税の場合は、次の所得以下の人。

35万円×(本人+被扶養者の人数)+32万円(32万円は被扶養者がいる場合に加算)+10万円(令和3年度から加算)



このように、政策目的とその前提となる社会ビジョンに応じ、支援が必要な者の実情を踏まえたうえで最適な制度の内容及び手段を決定するべきである。



○一過性の支援に留まらない、中長期的かつ継続的な支援を行うこと

学生や生活困窮者向けの支援については、一定期間困難な状況が続く可能性があることを念頭に置き、一過性の支援ではなく中長期的な支援が行えるよう制度設計するべきである。本支援においても子育て・教育関連クーポンという手段を用いることで教育費への充当は一部期待できるものの、そうした子育て・教育関連クーポンは継続的に使えるからこそ教育的な効果があると考えられており※6、他制度を含めてシームレスな設計を行う必要がある。



○子育て関連クーポンは幅広く様々なサービスに利用できるようにすること

18歳以下を対象とした10万円給付のうち、5万円分については子育て等に使途を限定したクーポンの配布であるが、本クーポンの配布に当たっては、多様な家族の形に配慮し、できる限り柔軟な制度設計とすることが重要である。



例えば、病児保育や子育てファミリー・サポート・センターといった子どもの預かりサービスの利用やおむつ・ミルクの購入に加え、家事ヘルパー派遣などの家事援助サービス、予防接種などの保険サービス、ベビーシッター、子育てシェアサービスなど、当事者が最も必要とする用途に利用できるように、新たに登場した公益性の高いサービスにも活用できるべきである。また、子育ては地域の様々なアクターの共助によって担われていることから、サービス提供者は行政のみならず、民間企業やNPO法人等多様なアクターを含めることが必要である。

2.中長期的に留意するべき視点

○政策の決定プロセスにおいて当事者が関与できる仕組みを整備すること

本支援については、先月に行われた衆議院議員総選挙後、自民・公明両党の議論を経て決定されたものと承知している。一方、今回のように政策のターゲット層が明確な場合、その支援のあり方をめぐっては、できる限り当事者となる若者や生活困窮者の実態を踏まえ、最も効果的な形を検討したうえで実施されるべきものである。



こうした観点から考えると、今回の意思決定においてその関与は十分ではなかったのではないかと思われ、今後ますます当事者が政策決定に関与できる仕組みの整備が望まれる。実際近年では、市民と政治を繋ぐ新たなサービスが多数誕生しており※7、そうしたサービスも活用しつつ、両者を繋いでいく姿勢が重要である。



○明確な社会ビジョンの設定およびその発信・浸透に努めること

本支援をめぐっては、経済対策、マイナンバーカードの普及促進、生活困窮者の支援、学生の支援など、様々な政策目的が総花的に並立されており、個々の政策効果が低くなってしまっているのではないか、との批判もある。



社会的な分断を避けること、対立を回避することは重要ではあるものの、将来世代への多大な負債を残しうる政策決定においては、政策を通じて達成したい社会ビジョンを明確に描き、そこに近づけるために最も効果的なあり方を模索するという「ゴール逆算型」の政策決定が重要ではないかと考える。また、若者を含め国民がそうした政策決定を自分事として捉え、納得感を生み出していくためには、政策目的とその前提となる社会ビジョンを共有する努力も不可欠である。



○過去の政策効果の検証を踏まえて制度を構築すること

株式会社マネーフォワード等が、2020年に実施された特別定額給付金10万円の給付について、その多くが貯蓄に回されたという分析結果を発表した※8。当支援をめぐっては、その効果検証が十分に行われておらず、果たして消費喚起・経済対策という目的が十分に達成されるか疑問に思うという声も聞かれる。また、マイナポイントの給付についても、カードの普及を促進するうえで効果に疑問があるとの声もある※9。

デジタル技術の普及によってEBPMが期待される今、こうした民間企業のデータや数値の分析も十分に活用し、過去の類似政策の効果分析を次に活かしていく姿勢が重要である。



※6:公益社団法人Chance for Childrenの活動を参照:https://cfc.or.jp/activity/

※7:一例として、デジタル庁が構築する「デジタル庁アイデアボックス」等が挙げられる:https://www.digital.go.jp/posts/4vlrFBy3

※8:2021年4月14日, “特別定額給付金が家計消費に与える影響に関する研究論文を発表”, 株式会社マネーフォワード:https://corp.moneyforward.com/news/release/corp/20210414-mf-press-3/

※9:2021年10月11日, “マイナポイント「カード普及効果に限界」財務省”, 日本経済新聞:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA112C70R11C21A0000000/

一般社団法人 PublicMeetsInnovation(PMI)について



未来社会を担うミレニアル世代の国家公務員、弁護士、政策従事者等のパブリック人材が、スタートアップや研究・教育機関と協働し、セクターを超えて社会ビジョンを構想し、世の中に問いかけていくシンクタンク。併せて、新たなルールメイキングの担い手(官僚・弁護士)の育成コミュニティ事業等も実施。



【組織概要】

設立:2018 年 12 月

理事・ボードメンバー:現役国家公務員、弁護士、研究者、経営者(10 名)

Policy Owner:内閣府・総務省・国土交通省・財務省・経済産業省・厚生労働省(10 名)

会員:弁護士・ロースクール生 (80 名) / 国家公務員参加実績(60 名)

協賛:PHP シンクタンク研究所

活動:官民共同組織による科学技術、教育、文化等に関する各種情報収集、調査研究及び政策の立案 / 次世代ルールメイカー育成事業



【公式HP】

公式HP:https://pmi.or.jp/

協力団体



【認定NPO法人D×P】

認定NPO法人D×P(ディーピー)は、不登校・中退・経済的困難など、さまざまな境遇にある10代の孤立を解決するNPO。学校とLINE相談で10代と出会い、困った時に頼れる人とのつながりをつくります。定時制高校では、高校生と社会人が対話する授業や校内居場所事業を実施。LINE相談事業「ユキサキチャット」は全国から相談を受け付けています。コロナ禍では、困窮する10代へ食糧支援・現金給付を実施しています。



公式HP:https://www.dreampossibility.com/



【NPO法人あなたのいばしょ】

日本初24時間365日、年齢や性別を問わず誰でも、無料・匿名で利用できるチャット相談窓口を提供する。独自に抱えるボランティア相談員による傾聴によって、個人の問題に寄り添うほか、DVや虐待など、危機的な状態にある人への警察・児童相談所等との連携を含めた緊急支援窓口としての機能も有しています。



公式HP:https://talkme.jp/


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