昨年までマイクロソフトのブースだった「跡地」を引き継いだ中国のハイセンス。米国進出は2001年。テレビ、冷蔵庫、エアコンは家電量販店で目立つ(撮影/津山恵子)
昨年までマイクロソフトのブースだった「跡地」を引き継いだ中国のハイセンス。米国進出は2001年。テレビ、冷蔵庫、エアコンは家電量販店で目立つ(撮影/津山恵子)

「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」に、大変化が起きている。日本メーカーに代わって、韓国だけでなく中国のメーカーが急速に台頭している。

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「うわっ。こりゃアップル並みだな」

 1月7日、米ラスベガスでのCES開幕を前に開かれたサムスン電子の記者会見場に入った途端、隣にいた米国人記者がつぶやいた。報道陣の数は約2千人。記者席の両側にも立ち見や床に座り込んだカメラマンが。

 ブー・キュン・ユン同社家電部門社長はスマートTVと呼ばれるインターネットに接続したテレビや、音声認識技術を使ってチャンネルを選べるテレビ、次世代の高解像度テレビ「4K」の85インチ型などを矢継ぎ早に発表した。

 さらに目立った企業のひとつが、中国家電大手ハイセンス(海信)だ。これまで、会場中心部で展示していた米ソフトウエア最大手マイクロソフトは今年から展示を取りやめた。その「跡地」に入ったのがハイセンス。青いロゴカラーの見慣れたマイクロソフトのフロアが、白が基調で大型テレビがずらりと並ぶ光景に一変した。

 これに対し日本勢の記者会見やブース面積は、業績の不振を背景に毎年、縮小傾向が続いていた。

 かつては「ワオ!」という声が相次いでいたソニーの会見では、あり得ないことが起きた。

「世界初の!」

 と、平井一夫最高経営責任者(CEO)が紹介しようとしたプロトタイプのテレビが、台車で舞台に出てきた途端、画面が「ブルースクリーン」と呼ばれるフリーズ状態に。会場からは「オー」という失望の声が漏れた。事前から発表の可能性が報道され、記者が実物を見るのを期待していた56インチの4K有機ELテレビだっただけに、会場は静まり返った。

AERA 2013年1月21日号