わずか3日で姿を消した伝説の味。生産再開を望む声も多い (c)朝日新聞社@@写禁
わずか3日で姿を消した伝説の味。生産再開を望む声も多い (c)朝日新聞社@@写禁

 9月に発売された「ガリガリ君リッチ」コーンポタージュ味が、大きな話題を呼んだ。生産が追いつかず、わずか3日で発売休止に。赤城乳業(埼玉県深谷市)の人気アイス「ガリガリ君」シリーズが、またヒットを放った。

 ガリガリ君が誕生してから今年で31年。今や年間4億本が売れる「国民的アイス」に成長した。シリーズは2カ月ごとに新製品が出る。開発するのは、営業本部や開発部、技術部などから選ばれた8人で構成される「ガリガリ君プロジェクト」というチームだ。

「失敗してもいいから楽しいアイデアを出すように」

 ミーティングでは、そう繰り返し指示される。このチャレンジ精神から、人気商品が次々と誕生している。

 従業員約330人の中規模の企業である赤城乳業がガリガリ君をヒットさせるまでには、様々な苦労があった。

 業界のライバルは、森永乳業や江崎グリコなど大企業ばかり。ガリガリ君が誕生した80年代は、こうした大手が社名を大きく書いた冷凍庫を駄菓子屋などに置き、競争していた。しかし当時の赤城乳業にその力はない。他社の冷凍庫の片隅を借りて、細々と販売するしかなかった。

 だが赤城乳業はここで発想を転換する。当時は、70年代に誕生したコンビニの急成長期。そこで販売の重点をコンビニへと移行し、パッケージのインパクトで他社との違いを全面展開。売り上げを伸ばしたという。
 
 99年からパッケージを手掛けるデザイナーの高橋俊之さん(40)は言う。

「店の冷凍庫で、ガリガリ君が生き生きと動いて見えるように描いています。ガリガリ君がお客さんを呼ぶイメージですね」

 年末年始には「超大々吉」まである「おみくじ付き」を発売。30周年記念にはミルク抹茶味のダジャレ商品「サンキューベリー抹茶」を出した。遊び心あふれる60円アイスが、ライバル企業を歯ぎしりさせている。

AERA 2012年11月5日号