【Vol.03】映像と異分野との融合から生まれる 新時代へのクリエーティブの可能性 |AERA dot. (アエラドット)

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放送局でディレクターや映像プロデューサーを経験した杉森順子教授は、学生たちと多様な映像メディア作品を制作してきました。様々な分野を横断する原動力や、新しい時代のクリエーターに求められるモノづくりの極意を明かします(聞き手:桜美林大学 畑山浩昭学長)。

【Vol.03】映像と異分野との融合から生まれる 新時代へのクリエーティブの可能性


ミュージックビデオからVTuberまで
学生と企画から映像をつくりだす

畑山:杉森先生がいま、学生たちと共に取り組んでいるのはどんなことでしょうか。

杉森:レコード会社「日本コロムビア」と連携し、福岡を中心に活動するプロのアーティスト「図鑑」のミュージックビデオを制作しました。私が担当する「芸術文化特講」の授業を履修する学生14名にとって、映像制作ははじめての経験でしたが、企画から撮影、編集まで全てを担当してつくり上げ、現在ドリーミュージック社のwebサイトで公開されています。

また杉森ゼミでは、学生たちにどんなプロジェクトに挑戦したいのか、企画をプレゼンしてもらっています。ディスカッションしながらテーマを決め、皆で「一つの作品をつくり上げる」ことを実践しています。今年は、テレビ神奈川で放送されている神奈川県国民年金基金のCMや、「桜美林」を逆さにした、林美桜(はやし・みお)ちゃんという名前の「VTuber」も制作して動画配信したんですよ。いまはまだ二次元のキャラクターですが、三次元モデル化を目指して制作しています。

ゆら、ゆら、ゆら ミュージックビデオ :図鑑


杉森ゼミ VTuber 林美桜



工学部でアートとテクノロジーの融合を経験
新たな時代に求められるクリエーティビティー

畑山:「VTuber」のお話が登場するのが、新しい! 私もフォローしていますよ。先生は、ちょっと特殊なご経歴ですよね。もともとテレビ局にお勤めで。

杉森:大学生の頃はメディアアートを学び、卒業後にキー局の番組タイトルをつくるCGデザイナーを経て、放送局に入りました。報道番組のディレクターからCG、実写映像まで様々な映像コンテンツの制作を経験した後、教育の道へ。愛知工科大学では、工学部情報メディア学科の准教授として勤めていました。はじめは理系と文系の世界がこんなにも違うなんて、まったく予想していなくて本当に驚きました。美術と工学の分野はまるで「地球の端と端」でしたね(笑)。でも工学部の先生たちの論理的で効率的な仕事の進め方には、とても刺激を受けました。またテレビ業界の「短時間で協力して一緒にやろう!」という文化も自分のなかに根付いています。

アートとテクノロジーの融合は今後、成長が期待されています。お互いが理解し合えば、アートだけでは不可能だったことが実現でき、工学の分野では思いつかない新しい発想が出てくる。私自身もここ数年いろんな先生や企業とコラボして、プロジェクションマッピングや映像コンテンツなどをつくる機会が、さらに増えました。また、科研費研究から5年間開発を続けてきた新たなプロジェクションマッピングの技術が、「デジタルサイネージ ジャパン2019」で展示され、企業でいま使われはじめています

このようなテクノロジーの支援によって、映像やメディアの分野は劇的に飛躍しましたが、やはり最終的に現場のつくり手に必要とされるのは、「クリエーティビティー」ではと思います。また、新しい発想をきちんと動かせるプランニングやマネージメントの能力も、今後ますます必要ですね。

畑山:桜美林大学には2020年春、芸術文化学群の新キャンパス(東京ひなたやまキャンパス)が誕生します。先生がご担当のビジュアル・アーツ専修では、どんなカリキュラムを考えていますか。

杉森:いま世の中で急速にニーズが増えているのは新たな「映像」分野です。プロジェクションマッピングやデジタルサイネージのような技術やモノとの融合、モーショングラフィックスのようなwebや動画コンテンツの仕事は確実に増えています。そこで、社会ニーズも上手に取り入れながら、他の大学にはない新しい映像の「学び」の体系をつくれたらいいですね。まずは、学生たちにどんどん新しいモノを見せ、映像には「こういう可能性がある」「こんなテクニックがある」「こんな人がいる」と知ってもらうことから始めています。そうすると、たとえば動画をつくると、はじめは予定していなかったけど、音楽をつくってみたいと思うかもしれない。様々なメディアや技術をミックスしながら、次々と新しい展開ができます。まさに文化の融合ですね。またそれに対応する教員やカリキュラムにも、柔軟性が求められますので、私自身もまた常に次のステップへと学び続けなくてはならないと思っています。

試行錯誤し、自問自答せよ
「最後までやり切る」責任感を

畑山:コンテンツづくりに関しては、なにか哲学やメソッドをお持ちですか。

杉森:映像分野でも「何の目的のためにつくるのか」が大切だと思っています。デザインとアートは別モノ。例えば番組をつくったり、イベント用の映像をつくったりする時は、具体的な目的のために「映像をデザイン」して制作します。それに対し、「アート」としての映像は自己の表現として内側から出てくるもので、自分がどう表現したいのか、面白いと思うものから突き詰めます。この二つは作品の考え方や制作の方法が違うのですが、まだ十分な理解が得られていない面があります。私は実務経験者の立場から映像分野を俯瞰して、映像をデザインするという考え方を今後「映像デザイン学」として、社会や学術の場にもっと広げていければと考えています。

またメソッドとしては学生たちにいつも、とにかく「最後までやり切りましょう」と伝えています。先ほどのミュージックビデオのようにクライアントワークとして作品を世に出すには、責任が伴います。「これで良いんだろうか」と自問自答し、悩みもします。皆で一緒に作業する間には様々な軋轢が生まれますし、苦労も試行錯誤も。学生の悩みに私が答えを出してしまえば簡単で、短時間で解決しますが、それでは彼らの力にはならないですよね。教員は「自分ではどう思う?」と聞き、何度もフィードバックしながら粘り強く学生自身が気づくまで待つことも大事だと思っています。と言いつつ、待つってなかなか難しいですね(笑)。こうして自分たちで苦労し乗り越え完成させた時、その自信や満足感は何にも代えがたい。作品だけでなく過程からも、制作者しかわからない映像制作の面白さに気づくと思います。

畑山:「やり切る」というプロセス、とても良い経験ができるでしょうね。杉森先生にも自分のポテンシャルを最大限発揮してほしいと思います。凝り固まったなかでは、学生も先生も伸びないですから、大学としてはそのプラットフォームを構築したいです。

杉森:ありがとうございます。ぜひよろしくお願いします。桜美林の学生は、素直で吸収するのが早くていいですね。授業を重ねるごとに学生の顔が引き締まり、日々成長する姿が見られて嬉しいです。新しい映像領域は未知数な面もあるので、これから皆で教育のあり方を自由に議論できる場があるといいなと思っています。学生や他分野の先生方と一緒に、ここ桜美林ならではの新しい映像教育を発展させていきたい、映像分野の魅力を伝えていきたい、そんなことを夢見ています。

杉森順子

桜美林大学 芸術文化学群 教授(ビジュアル・アーツ専修)

1985年、筑波大学芸術専門学群・構成専攻総合造形コース卒業。2016年、愛知県立芸術大学芸術研究科博士課程単位取得満期退学。博士(美術)。CGデザイナーを経て1990年より静岡放送報道制作局報道部専属ディレクター。1994年、ユニットプロダクション・ディレクター、プロデューサー。2003年、常葉学園大学造形学部非常勤講師(ディレクターとの兼職)。2009年、愛知工科大学工学部情報メディア学科准教授。2018年から現職

文:加賀直樹 写真:今村拓馬

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