<レポート>PSYの夏の名物ライブが世界配信、海外展開や向上心アップ方法も明かす
<レポート>PSYの夏の名物ライブが世界配信、海外展開や向上心アップ方法も明かす

 PSYのコンサートフィルム『PSY SUMMER SWAG 2022』の世界配信を記念して、PSYが各国メディア向けのオンライン記者会見を行った。

 【SUMMER SWAG】は、「江南スタイル」(2012)で一世を風靡したPSYが2011年にスタートさせた水を大量に使用したコンサートで、1公演あたり、実に300トンの水が使用される。観客もパフォーマーもびしょ濡れになりながら楽しむ夏の風物詩として知られ、2022年は7都市で10公演開催、約35万人を動員。5年ぶりのアルバム『PSY 9th』の収録曲「That That」にプロデュースとフィーチャリングとして参加するBTSのSUGAがサプライズ登場したことでも話題を呼んだ。

 韓国内では有名なこのライブをディズニープラスで世界配信することで、「『江南スタイル』以外の曲を海外の方々に知ってもらう機会になれば」と期待を込めるPSYは、国外展開も考えているという。「実はまだ海外でツアーをしたことがないんです。過去にたくさんオファーが来た時期もあったのですが、2曲だけ知られている状態で、2時間のコンサートがもつでしょうか? 誰もが知っている曲をもっと増やすべきと考えていまして、今回の配信を通して、多くの曲を知ってもらうことができたら、ぜひ海外ツアーにも挑戦したいですね」と意気込む。

 ただ、【SUMMER SWAG】を国外で開催するのは簡単ではないようだ。というのも、特注機械を使用しており、その扱いに慣れた技術者が必要なのだという。「アジアの暑い国々からオファーはあるのですが、機材運搬がかなり難しいんです。運ぶのではなく、開催国で機械を準備する必要がありまして、時間もかかることなので、なかなか……。パートナーがいれば、話が進むかもしれませんね」と、実情を説明してくれた。

 このフィルム・コンサートでは、PSYのエンターテイナーぶりが楽しめる。「江南スタイル」や「Gentleman」など、数々のヒットナンバーはもちろん、オーディエンスの涙を誘う感動的な演出もいくつかある。

 そのうちの一つが自身の父親に向けて書いた「FATHER」(2004)だ。「2001年から歌手活動をスタートさせたのですが、父親は反対でした。一人息子にもかかわらず、家業を継がなかったので猛反対したんです。父に捧げるのと同時に『反対しないでほしい』という願望も込めています。自分が父親になった今、この世のすべての父親に捧げる曲になっています」と振り返る。

 オーディエンスの熱狂ぶりにも注目だ。マスク着用とはいえ、曲に合わせて歌い、自由に踊る姿、そして「観客はPSYを見ずにダンスしている」というスタッフのコメントから、観客が“その場を楽しむ”ことに集中していることが見て取れる。PSYはその点について「このコンサートで最高に楽しい感動を与えられるよう、毎回努力しています。2003~2004年頃からこう考えるようになりました――観客が熱狂するシチュエーションを提供することに念頭を置こうと。人は年を取りますが、シチュエーション(感動)は年を取らずに残ります。ステージに立っている人がオーディエンスを虜にするのもライブですが、私の場合、演者ではなくコンサート自体が持つ魅力に人々が虜になっているんだと思います」と説明する。

 また、若年層から支持を得ていることについて尋ねると、「私は幸運に恵まれていると思います。20代の頃から45歳の現在まで、自分のファン層の多くは20代です。もし辛い状況にいたり、挫折しそうになっていたりしたら、私を見てください。ハンサムでも痩せ型でもムキムキでもない私でも、素晴らしい音楽を発信するK-POP界でこうして活躍できているんですから、不可能なんてないんですよ」とメッセージを送る。

 独自のスタイルを貫く姿は、同年代の人々をも勇気づけているが、「新曲を出すたび、成績が出ますので、気になりますし、ストレスでもあります」と、アーティストとしての本音も語った。そんなときは、「『自分は幸せだ。いいようになるって』と自分に言い聞かせ続ければ、なんでも前向きにとらえれば、大丈夫になるんです。自分を偽り続けると、いつのまにか、気持ちがいい方向に騙されていくんです」と、音楽事務所の代表も務める彼らしいマインドセットを教えてくれた。3年ぶりに開催された本ライブの模様を収録した『PSY SUMMER SWAG 2022』は、ディズニープラス スターで独占配信中だ。

Text by Mariko Ikitake

◎作品情報
『PSY SUMMER SWAG 2022』
ディズニープラス スターで独占配信中
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