<ライブレポート>INI、初のアリーナツアー締めくくった武道館公演「皆さんをもっともっと大きな舞台に連れて行きたい」
<ライブレポート>INI、初のアリーナツアー締めくくった武道館公演「皆さんをもっともっと大きな舞台に連れて行きたい」

 2023年1月7日および8日、グローバルボーイズグループINIの1stツアー【2022 INI 1ST ARENA LIVE TOUR [BREAK THE CODE]】の追加公演が日本武道館にて開催された。今回はツアー最終日の8日夜公演のレポートをお送りする。

 ツアータイトルの「BREAK THE CODE」を思わせるようなクールなオープニングVCRに続き、映像から繋がるようなスパイを想起させる黒いタイトな衣装に身を包んだメンバーが登場。1stシングル『A』収録の「Rocketeer」と「Cardio」、2ndシングル『I』収録の「BOMBARDA」と、パワフルでヘヴィな重低音が印象的な曲からライブの幕が上がった。

 「武道館~!! やっほー!」「盛り上がってますか!?」とテンション高めに始まったメンバーの挨拶では、「マップを見た時に武道館のところだけが金色に輝くくらい、ホットスポットにします!」という後藤のコメントに思わずメンバーからも「最高だな」という賞賛の声が。オーラスということもあり、最後まで悔いのないように楽しみたいというみなぎる気合いが感じられるコメントが続く中、「最近毎朝、白湯飲んでます!でも、皆さんに会うと白湯なんかいらないくらい身も心もあったかくなります」という田島将吾のコメントに空気が和む場面もあった。「これからの2時間半は泣く時間じゃないですからね! 楽しんで! 笑って帰る2時間半にしましょう。メンバーも楽しむんだぞ! 泣くんじゃねえぞ!」という?塚の言葉にメンバーたちが「おし!」「約束な!」と答える中、「フラグ立ててない?」という西洸人のつぶやきはまさにエンディングへの布石となっていたのかもしれない。座席の場所ごとに手を上げさせるコーナーで「皆さん手を上げてください」(客席手を上げる)「手を下げてください」(客席手を下げる)「3階手を上げてください」(客席、3回手を上げる)という天然ハプニングに会場全体が笑いに包まれた場面も。メンバーの中で卯年の年男は?塚大夢、藤牧京介、尾崎匠海、後藤威尊の4人だが、新年の挨拶の後に藤牧が「もっとたくさんのMINIに会えるといいですね」とINIの今年の目標を語ってくれた。

 続いては、INIが誕生するきっかけとなったオーディション番組『PRODUCE101 JAPAN SEASON2』の課題曲で、INIバージョンは『A』に収録されている「RUNWAY」「ONE」。オープニングとはガラリと変わった爽やかなハーモニーとエモーショナルな歌声を聴かせてくれた。

 メンバーが様々な方法で「友達になる方法」を模索するという可愛らしいVCR後は、ラストのセリフ〈I will do what you like.(君の好きなことなんでもするよ)〉に続くような「Do What You Like」、“君とのこの瞬間がKilling part”と歌う「KILLING PART」、メンバーが一斉にうさぎのようにジャンプしたり、木村柾哉が?塚を、佐野雄大が松田迅をお姫様抱っこしたりするなどステージの上を無尽蔵に駆け回る「AMAZE ME」と、スウィートな雰囲気のパフォーマンスが続く。中間のMCでは、VCR中の木村の甘い台詞「アイコンタクトしてお互いの気持ち、確かめあおう?」にメンバーがトライするチャレンジ企画。今回の担当は池?理人だったが、気合いの入りすぎた変顔に「最下位です」というジャッジをした藤牧も巻き込まれ、誇張したモノマネを披露。よかったと喜ぶ田島以外のメンバーからは「思ったのと違う!」というクレームが。最後はVCRで木村の相方だった尾崎が指名され、全力で可愛らしさをアピールしてメンバーの絶賛を浴びていた。

 明るい雰囲気のまま、暖かくも切ない「Brighter」「STRIDE」を歌い上げた後は、ユニット曲が披露された。木村、松田、後藤の3人によるパワフルで息の合ったダンスパフォーマンスの後は、田島、西、池?によるメロウな雰囲気の「How are you」、藤牧、佐野、許豊凡、尾崎、?塚は「Mirror」で会場をいっぱいに響くのびやかな歌声で満たした。

 次の曲「Runaway」は追加公演のために準備されたパフォーマンス。「普段生活していてうまくいかないことやつらいことはいっぱいあると思うんですけど、そういうときに逃げるという選択肢も間違いじゃないと思います。心が健康な上で物事に立ち向かえると思うので。僕たちはMINIの皆さんが逃げてこれるというか、癒しの場所になりたいです」(池?)というメッセージが込められている。公式サイトでファンから募集した「INIに愛を伝える11文字」がUFOに吸い込まれていく演出では、韓国語での「来年も一緒にいましょう。サランヘヨ」というメッセージもあった。

 最後のVCRは、メンバーそれぞれが協力してパスコードを解き明かしていくという、スパイムービーを思わせるクールな演出。VCR明けには「Password」「CALL 119」と、INIのシグネチャーとも言える重厚なユニゾンと激しいダンスが融合する気合の入ったパフォーマンスを披露。突き抜けるようなパワフルボーカルがインパクト大の「Shooting Star」では銀テープも飛び出し会場の盛り上がりも最高潮に到達した。タイトル通りドラマティックな曲構成と一糸乱れぬダンスのインパクトで見るものを圧倒させる「Dramatic」、客入りでも使われライブ開始までの期待感を盛り上げていた「BAD BOYZ」と、ハードなビートの楽曲でライブ終盤を盛り上げていく。本公演のラストを飾るのは1stアルバム『Awakening』のタイトル曲「SPECTRA」。曲入りの前にサビの力強い〈Pop pop!〉に合わせて客席とコミュニケーションする場面と、途中でブラックアウトするようなカメラ演出が印象的だった。

 アンコール明けは『PRODUCE101 JAPAN SEASON2』のテーマ曲であり、INIの原点ともいえる「Let Me Fly~その未来へ~」のINIバージョン。最後のMCでは、ポジティブな未来を夢見るようなこの曲のタイトルのまさに“その先”にいる現在の自分達を、感謝を込めて噛みしめるような言葉が紡がれた。

 「MINIのみんなの前でパフォーマンスしてる時間が本当に楽しくて幸せで、好きなことをして生きるって当たり前じゃないんだなと思いました。みんな自分を大切にしてください。僕たちにとっては、INIもMINIもみんな健康で幸せでいるのが僕の今年の目標です」(後藤)

 「自分は支えになれるような人を目指してるとずっと言っているんですが、たまに支えになれてるのか不安なときもあります。でも、ライブで皆さんと直接目を合わせて見るとすごく幸せな笑顔を向けてくれて、それを見るとちゃんと支えになってるのかなと思います。この気持ちがブレることなく夢に向かって突き進んで行こうと思いますので、僕たちに付いて来てくれたらうれしいです」(尾崎)

 「中学生のときに好きなアーティストのライブステージを生で観て、ステージでパフォーマンスする職業に憧れて夢を追い続けていました。一度あきらめてしまったんですけど、こうして自分たちのツアーをやらせていただいて、こんなにたくさんのMINIに会って、もう一度夢にチャレンジしてよかったなって心から思いました。パフォーマンスする側に立ってみて、とんでもない数の人に支えられてライブができているなというのをすごく感じています。自分が支えられている分、本気でみんなを支えられるようにこれからもがんばるので一緒に歩んで行ってください」(藤牧)

 「今こうして武道館という会場で皆さんに会えているのが信じられなくて、“大夢”だけに大きな夢を見ている気分になります。オーディションに応募したときに自分がこんなふうになるなんてまったく想像していなくて。ひねくれ者だったのもあって、審査が通るたびに辞退しようかなって思ってたんです。大変な人生になるだけだと思ったんですけど、あのとき決心してこの道に決めてよかったなとここからの景色を見て改めて本当に思います」(?塚)

 「『レミフラ』(「Let Me Fly~その未来へ~」)を踊ると我に返るというか、普通の立場じゃないんだ、多くの人に勇気や温かさを与えられる立場だということをもう1回強く感じて、だからこそこれからも強く歩いて行きたいなと思いました。このツアーを通してMINIの皆さんとの距離が縮まったんじゃないかなと思います」(田島)

 「ステージを作ってくださる演出家さん、スタイリストさん、そしてそばで支えてくださってるINIチーム、何よりも僕たちをこんな大きなステージに立たせてくれているMINIの皆さん、本当にありがとうございます。冬だし寒いしこんな大変な情勢の中、重い荷物を持って命を懸けてここまで来てくださっているのが本当に伝わります。INIは老若男女に愛されるグループになると信じて、またこうしてMINIのみんなに会える日を楽しみに毎日がんばるので、これからもよろしくお願いします」(木村)

 佐野の「MINIの皆さんのことが大好きだなと思ったし、何よりもほんまにメンバーがいいやつすぎて、僕ら毎日めちゃくちゃ幸せで。INIの一員でいれることがめちゃくちゃ嬉しい。ここまで支えて連れてきたくださった皆さん、本当にありがとうございました! お互い支え合ってたくましく人生を歩んでいきましょう!」というコメントでは、感極まった佐野が両隣の後藤と池?の手を全力で握りしめると、なぜか他のメンバー達も隣と手を繋ぎだす場面も。「雄大くんがハグしてくれたんですけど、えげつない怪力でした」と笑いながら暴露した池?は、「うちわとか紙とかに『武道館おめでとう』とか『〇〇くんのおかげ』とか書いてくれるじゃないですか。全部逆なんですよ。こちらこそなんです。皆さんをもっともっと大きな舞台に連れて行って、推しててよかったと思ってもらえるくらいみんなで協力してもっと大きくなるので、これからも応援してくれたらうれしい」とファンへの感謝を語った。

 「MINIー! 支えてくれてありがとうございます。今日という日を迎えることができてめちゃくちゃうれしいです」といつも元気いっぱいの松田は、支えてくれる両親へは少し涙声になりながらも「自慢の息子やろー!」と笑顔で感謝を伝え、オープニングのMCで?塚に「フラグ?」というツッコミをしていた西は、「みんな覚悟してINIになってます。オーディションも正直めっちゃしんどかったです。みんな何かあって、断ち切って、覚悟を決めてやってます。俺は今までの仲間や環境を失ったと思ってたけど、全然そうじゃなくて。俺にはMINIの皆さんだったりスタッフの皆さんだったり色んな人がいるんだと思った。そのくらい覚悟決めてやってるし、俺らグローバルボーイズグループって言ってるけど、まだまだここからだと思ってるし。そのくらい本気で俺は世界へ行きたいです」と涙ぐみながら自分でフラグを回収した後、「でも、俺らメンバー11人だけじゃ無理です。INIチームとして支えてくださっているスタッフの皆さんもいっぱいいます。俺はそのチームでもっともっと上に行きたいです。だからもうMINIの皆さんもINIチームだぜ」と明るく前向きな雰囲気で締めた。

 許は「自分は知り合いゼロ、家族ゼロの状態で日本に来て、今日は武道館という素敵な舞台に立てて。その過程でいろんな人に支えられました。学生時代にお世話になっていた先生や友達、そして今はメンバーたち、大切なMINIの皆さん。ひとりで日本に来て言語もたまに通じないときもあるし、異国だと思わないようにしていても孤独を感じるときもあるんですけど、そんな弱かった自分を強くしてくれたのはここにいる皆さんです。皆さん一人ひとりに感謝の気持ちを伝えたいんですけど、なかなかそれができなくて、だから少しでも自分たちのパフォーマンスで笑顔になってくれたら。ここにいないMINIの皆さんもどこかで自分たちの姿を見て、皆さんのおかげでがんばってることが伝わったら、それが自分たちにとって最高の恩返しになります。でも、その恩返しは当たり前でそれだけじゃ足りないと思うので、僕はMINIの皆さんに与えていきたい。もっともっと大きいステージに連れて行きたいし、もっと大きな夢を叶えていきたい。【BREAK THE CODE】は終わりになるんですけど、自分たちの道はまだまだスタートしたところです」と、未来への前向きなメッセージでMCを締めくくった。

 最後の曲となった「We Are」は、先のわからない未来へ飛び込む恐れやときめきを歌った曲。紙吹雪の舞う中会場を走り回り、客席に「ありがとう!」の感謝を伝える多幸感に溢れたまま、ライブの幕は閉じた。

Text by DJ泡沫
(C) LAPONE ENTERTAINMENT

◎公演情報
【2022 INI 1ST ARENA LIVE TOUR [BREAK THE CODE]】追加公演
2023年1月7日(土)、8日(日) 東京・日本武道館